2003 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスによる肝障害発生に対するp53の遺伝的多型の影響
Project/Area Number |
12670320
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
加納 和孝 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70111507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂根 直樹 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40335443)
白木 孝 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10294208)
鎌江 伊三夫 神戸大学, 都市安全研究センター, 教授 (70252905)
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Keywords | p53遺伝的多型 / C型肝炎ウイルス / 肝障害 / 血小板減少症 / 肝機能検査 |
Research Abstract |
本年度の研究ではC型肝炎ウイルス(HCV)抗体陽性者の多い地域でHCV-RNA陽性者の肝障害の進行についてヒトがん抑制遺伝子p53のコドン72における遺伝的多型との関連性を解析した。昨年度までの研究結果では血小板数、AST, ALT,γ-GTP, ZTT、全コレステロール量についてHCV-RNA陽性者が有意に悪い値を示すことがわかっている。ヒトがん抑制遺伝子p53のコドン72における遺伝的多型にはアルギニン/アルギニン、アルギニン/プロリン、プロリン/プロリンの3型があることが知られている。これらの型別に上記各指標、年齢、性別、飲酒量、HCVの遺伝型などについて解析したところ、血小板数の減少についてプロリン/プロリン型の個体が有意に大きいことを見出した。他の指標についてはいずれも有意差は認められなかった。血小板数の減少は肝機能の低下、肝障害の進行を反映していると考えられる。p53の遺伝的多型によるこのような変化はHCV感染後のウイルス増殖、肝障害の進行にp53が関与していることを示すものである。今回の研究結果は遺伝的変異が起こることによりp53の機能が変化し、結果としてHCV感染後のウイルス増殖に有利な状況が発生する可能が考えられる。 本研究は平成9年から平成14年までの5年間について解析したもので、高度の肝障害、更には肝がんの発生においてもp53の遺伝的多型との関連性が示唆される結果となっている。今回の研究で我々はp53の遺伝的多型がC型肝炎発症のリスクファクターであることを示し、疫学的に有用な指標であることを明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Okubo T: "ER-dependent estrogenic activity of parabens assessed by proliferation of human breast cancer MCF-7 cells and expression of ERalpha and PR"Food Chem Toxicol. 39・12. 1225-1232 (2001)
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[Publications] Okubo T: "Cell death induced by the phenolic antioxidant tert-butylhydroquinone and its metabolite tert-butylquinone in human monocytic leukemia U937 cells"Food Chem Toxicol. 41・5. 679-688 (2003)
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[Publications] Okubo T: "Estimation of estrogenic and anti-estrogenic activities of some phthalate diesters and monoesters by MCF-7 cell proliferation assay in vitro"Biol Pharm Bull. 26・8. 1219-1224 (2003)
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[Publications] Yokoyama Y: "Induction of apoptosis by mono(2-ethylhexyl)phthalate(MEHP) in U937 cells"Toxicol Lett. 144・3. 371-381 (2003)
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[Publications] Okubo T: "Molecular Mechanism of Cell Death Induced by the Antioxidant tert-Butylhydroxyanisole in Human Monocytic Leukemia U937 Cells"Biol Pharm Bull. 27・3. 295-302 (2004)