2002 Fiscal Year Annual Research Report
日本・韓国・インドネシアにおける出生力低下メカニズムに関する比較人口生態学研究
Project/Area Number |
12670368
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
高坂 宏一 杏林大学, 総合政策学部, 教授 (00146557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 有利子 杏林大学, 保健学部, 講師 (50265766)
出嶋 靖志 杏林大学, 保健学部, 助教授 (00237025)
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Keywords | 出生力低下 / 年齢階級別出生率 / 有配偶出生率 / 有配偶割合 / 出生性比 / 男児選好 / 日本:韓国 / 東京都 |
Research Abstract |
前年度までに明らかにされた結果(韓国の出生力を分析する上で、特に1980年以降、出生性比が極めて重要であること、また、日本の出生力に見られる地域差では、沖縄県と東京都がそれぞれの高低において特異的であることなど)を踏まえ、本年度は、韓国の道別の分析を進め、合わせて韓国の男児選考観の文化を歴史的に把握し、また、日本については、東京都の地域(区部・市郡部)間の多様性に注目して分析を進めた。 韓国の道別の出生性比の地域差は大きく、この差は地域の歴史的背景に基づ文化の相違(それは文化変容の程度の違いによると考えられた)を反映していると考えられた。出生性比の不均衡は韓国社会に大きな影響を及ぼしてきたし、少子化の進行とともに将来に向けてさらに深刻な問題を顕在化させることになることが考察された(現在では政府主導の男児選好払拭対策が実施されている)。一方、東京都(都道府県で出生力が最も低い)については、地域(各区部・市郡部)別に1990年以降5年ごとの分析を行った結果、合計出生率が1未満の地域が2000年の時点で15あること(その多くは区部であるが、市郡部にもある)、一方で、全国平均を上回る合計出生率を示す市が2つあること、などに表れているように多様であることが判明した。特に、25-29歳の出生率の地域差が大きいこと、出生率が相対的に高い地域は、出生率のピークが25-29歳にあること、相対的に低い地域はそのピークが30-34歳にあること、経年的にピークが30-34歳に移行している地域が多いことがわかった。有配偶割合はいずれの地域でも経年的に減少傾向を示した。有配偶出生率は区部・市郡部とも25-29歳を除く20-39歳の各年齢階級で10年間に上昇傾向にあった。多様な地域差をもつ東京都の出生力について簡単にまとめることは難しいが、出生力率低下の要因として有配偶割合の低下が大きく寄与していることは確かである。
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