2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12670370
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
下光 輝一 東京医科大学, 医学部, 教授 (90206243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田切 優子 東京医科大学, 医学部, 講師 (90276907)
大谷 由美子 東京医科大学, 医学部, 講師 (00074724)
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Keywords | 健康増進 / 行動医学理論モデル / 行動変容の過程 / 運動習慣のステージ / 無作為割付介入試験 |
Research Abstract |
昨年度は、行動医学理論モデルであるTranstheoretical Theoryにもとづいた「運動行動変容の過程」尺度(以下POC)を作成し、その構成概念の検証と質問票の整備を行った。まず、先行研究の文献検討によるPOCの概念の確認と、英語版POC調査票の訳出を行った後、一般成人に"自分の運動習慣が変わるとき、変えようとするとき"を想定した自由記述を依頼し、質問項目の作成を行った。その結果、全部で146項目の質問票が作成された。これを基に、運動による健康づくりを専門とする医師、健康運動指導士等によるブレインストーミングを行って、同意義の質問項目の排除や言葉の整備を行い47項目、11概念(プロセス)の質問紙とした。本年度は、現在の運動習慣の有無や運動習慣のステージを尋ねる質問表とPOC調査票を職域において実施し、POC調査表の信頼性と妥当性の検討をした。POCの11プロセス(行動ならびに認知のプロセス)はいずれも運動習慣のステージにより有意に異なり、妥当性が確認された。また、確認的因子分析の結果、11プロセスのうち9のプロセスではクロンバックのα信頼性係数が0.7以上と高く信頼性は高かった。この調査を実施後、某社56事業所を事業所規模に応じて層化後無作為割付を行い、介入群に対して毎週ポスター掲示と個人宛に行動医学的技法を用いた情報を社内メールを用いて配布3ヶ月間配布し、集中的介入を行った。提供した情報は、介入前の運動習慣のステージに応じ、POC調査票の項目を参考とした内容とした。3ヵ月後の再調査の結果、介入群、非介入群ともに運動習慣のステージには有意な変化がなかった。介入前に運動習慣のステージが関心期であった者では、「刺激統制」「環境再評価」などのPOC尺度が、介入群においてのみ上昇した。以上より、情報提供型の介入は、運動習慣のステージを変化させるものではなかったが、関心期の対象者に対しては、運動に関する行動プロセスや認知のプロセスを変化させることが可能であることが明らかとなった。
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