2000 Fiscal Year Annual Research Report
努力-報酬不均衡モデルによる日本人のための職業性ストレス測定尺度の開発応用
Project/Area Number |
12670373
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
堤 明純 久留米大学, 医学部, 講師 (10289366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
的場 恒孝 久留米大学, 医学部, 教授 (80080670)
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Keywords | ストレス / 仕事 / 調査票 / 信頼性 / 妥当性 / 精神的自覚症状 / 項目反応理論 |
Research Abstract |
Siegristらにより提唱された職業性ストレスモデル「努力-報酬不均衡モデル」による日本語版調査票を開発し,その標準化と日本人の職業性ストレス研究への応用を図っている。本モデルは仕事の要求度に費やす「努力」とそこから得られる「報酬」に対する就業者の評価を測定し,そのバランスの欠如(不均衡)をストレス指標とする。加えて,仕事の要求に対して過剰な努力を傾注しようとする個人的な態度や行動を「オーバーコミットメント」として把握する。 平成12年度までに歯科技工士105人,製造業981人(このうち再調査543人),看護職を中心とする医療職2827人の計3913人に本調査を適用した。 指標の平均値(標準偏差)は,努力6.8-7.9(1.5-2.0),報酬20.3-21.3(1.4-2.6),オーバーコミットメント11.1-14.6(4.1-5.4)と調査対象を通じて比較可能であり,内部一貫法による信頼性係数も努力.82-.88,報酬.80-.91,オーバーコミットメント.60-.76と良好であった。因子分析結果から推定される構成概念妥当性も概ね理論構造との一致を見た。企業の経済的困難によるリストラを経験した就業者に対する再調査では,努力-報酬不均衡状態の割合が8.5%から12.1%へと悪化を認め,調査票の良好な反応性が窺われた。筋骨格系症状,精神的不健康(GHQ調査票による),タバコ依存,気分障害(POMS調査票),バーンアウト,うつ状態(CES-D調査票)とストレス指標との間に有意な関連が認められ,少なくとも自覚症状を基準とした妥当性を確認した。 本調査票から測定される日本人のストレス暴露群の頻度は欧米における観察頻度より低いことが認められた。項目反応理論を用いた基礎的な解析により,各質問項目の困難度が高いことが明らかになり,その一要因と考えられた。
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Research Products
(1 results)