2002 Fiscal Year Annual Research Report
介護保険制度導入が地域高齢者保健医療福祉システムに及ぼした効果の評価に関する研究
Project/Area Number |
12670376
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
松田 晋哉 産業医科大学, 医学部, 教授 (50181730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 美江子 産業医科大学, 医学部, 助手 (70320348)
劔 陽子 産業医科大学, 医学部, 助手 (60320347)
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Keywords | 介護保険制度 / 介護予防事業 / 介護給付費 / 後期高齢者 / 独居高齢者 |
Research Abstract |
平成12年度に導入された介護保険制度の影響について調査した結果以下のような知見を得た。 1)福岡県内の1自治体において、自立判定になった高齢者のADL、LADL、現病歴・既往歴、世帯の状況などを評価する総合調査票を平成12年度に作成した。自立判定者及び老人保健事業に参加している高齢者を対象に評価を行い、199名について平成14年度の状況について分析を行った。その結果、2002年11月時点で調査開始時の199名の高齢者のうち、5名のみが死亡(2名)あるいは介護保険対象者(3名)となり、その他は「自立」にとどまっている。ADL機能のうち「移動」「排泄」でそれぞれ約20%と10%の若干の低下が認められた。いずれも現病歴に「膝関節症」あるいは「腰痛」などの骨関節系の障害がある者で、そうでない者に比較して、「移動」「排泄」が低下する割合が高かった(log-rank test : p<0.05)。以上の結果は自立から要支援群の高齢者が要介護状態に陥っていく原疾患として骨関節系の傷病が重要であることを示している。また、平成14年度はこの調査票を用いて同自治体の全高齢者を対象とした実態調査を行い、中学校区別に自立度の評価を行った。 2)介護保険給付の増加要因を分析するために以下のようなモデル式を作成し、福岡県内の10自治体のデータの分析を行った。 TCE=TN×R1×R2×CE; TCE総介護給付費、TN第一号被保険者数、R1申請者の割合、R2認定率、CE一人当たり平均給付費 両辺の1nを取り微分するとΔTCE=ΔTN+ΔR1+ΔR2+ΔCEとなり、TCEの増加の要因分析ができる。分析の結果、都市部では老人人口の増大が最も大きな介護保険給付費増の要因であり、過疎地域ではCEの増加が給付費増の主たる要因となっている。そして、CEの増加に関連する要因としては独居高齢者の数、後期高齢者の数、施設サービス量などが関連していた。
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