2000 Fiscal Year Annual Research Report
有害環境因子暴露におけるバイオマーカーとしての肺サーファクタント蛋白に関する研究
Project/Area Number |
12670379
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Research Institution | The Institute for Science of Labour |
Principal Investigator |
川見 正機 (財)労働科学研究所, 研究部, 主任研究員 (80153005)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老原 勇 (財)労働科学研究所, 研究部, 主任研究員 (80124311)
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Keywords | 肺サーファクタント蛋白 / SP-A / SP-D / KL-6 / じん肺 / 粉じん暴露 / 間質性肺炎 / 血清バイオマーカー |
Research Abstract |
血清中肺サーファクタント蛋白(SP;surfactant protein)であるSP-A、SP-D、ムチン蛋白であるKL-6に着目し、じん肺罹患者、粉塵暴露作業者集団において間質性肺炎(IP;interstitial pneumonia)との関連性、線維化進展度、炎症性サイトカイン、Th1/Th2細胞型サイトカイン動態との関わりから、粉塵暴露作業者、じん肺罹患者における血清バイオマーカーとしての有用性を明らかにすることを目的とした。 対象は、石材加工労働者、じん肺罹患者、石綿肺罹患者、および健常成人ボランティアをコントロールとした。間質性肺炎については定型、非定型例に分類した。 得られた主な結果は、次の通りである。1)粉じん暴露者及びじん肺罹患者279名中、非定型例33名(11.8%)、定型例13名(4.7%)のIP所見例を高率に認めた。こうした粉じん暴露にともなう慢性型IPにおける各種SP蛋白は、非定型例、定型例のいずれにおいても高値、高陽性率を示し画像所見との関連性を示した。2)これら各種SP蛋白の動態は、粉じん暴露に関連した慢性型IPの基本病変すなわち蜂窩肺様の線維化病変(UIP)を反映したものと推察された。3)他方、IP所見を認めない粉じん暴露者及びじん肺罹患者においても各種SP蛋白は有意ではないものの高値を示し、胸部じん肺所見における線維化進展との関連性も伺えた。4)以上により、粉じん暴露作業者には間質の線維化が高率に認められ、これらの例では各種SP蛋白も高値を示し、職業的な粉じん暴露との関連性が示唆された。したがって各種SP蛋白の動態は、じん肺の間質性変化、線維化進展の病勢を反映する血清バイオマーカーとして有用であると考えられた。なお、炎症性サイトカイン、Th1/Th2細胞型サイトカイン動態との関わりについては解析中である。
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