2001 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化炭素中毒における中枢神経障害発現機序に関する研究
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12670406
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
原 修一 東京医科大学, 医学部, 講師 (70208651)
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Keywords | 一酸化炭素 / 一酸化窒素 / マイクロダイアリシス / 低酸素 / 線条体 / ラット |
Research Abstract |
一酸化炭素(CO)毒性にはneurotransmitterあるいはneuromodulatorである一酸化窒素(NO)とCOとの相互作用が関与する可能性が示唆されている。そこで、今年度、ラット線条体におけるNO生成に対するCOおよび低酸素性低酸素の作用についてマイクロダイアリシス法を用いて検討したところ、次のような結果を得た。(1)CO曝露(40分間)は、CO濃度の増加に伴ってNO生成の指標である細胞外NO酸化物(NOx)濃度を減少し、この減少は曝露中止後徐々に回復した。(2)CO3000ppm曝露時の細胞外arginine(Arg)及びcitrulline(Cit)濃度はいずれも有意に減少し、曝露中止後一時的に曝露前と同程度まで回復したが、その後再び減少した。(3)CO3000ppm曝露時にL-Argを投与したところNOxの減少は著明に軽減され、CO曝露中止後の回復も加速されたが、D-ArgではCO曝露中止後短時間においてのみ有意な軽減が認められた。(4)CO3000ppm曝露時にL-Citを投与した場合にはこのような軽減はまったく認められなかった。(5)低酸素性低酸素(40分間)ではO_2濃度に依存してNOxが減少し、8%O_2ではCO3000ppmと同程度となった。この減少は、O_2を通常濃度にすることにより徐々に回復した。(6)8%O_2曝露時にL-Argを投与したところ、NOx減少に対する若干の軽減作用は認められたが、CO3000ppmの場合ほど顕著ではなかった。しかし、通常O_2濃度への復帰後、NOxはCO3000ppmの場合と同様に急速に回復した。以上の知見から、CO曝露は、細胞外L-Arg濃度を減少させてNO生成を抑制し、これには低酸素以外の因子の関与が示唆された。
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