2000 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関節リウマチ滑膜細胞におけるInterleukin-15過剰産生機構の研究
Project/Area Number |
12670411
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
天崎 吉晴 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (50312369)
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Keywords | Interleukin-15 / Rheumatoid arthritis / TNFα / NF-kB |
Research Abstract |
慢性関節リウマチ(Rheumatoid arthritis、以下RA)の関節病変において、炎症の首座である滑膜組織におけるTNFα-TNFレセプター系シグナルを介した滑膜細胞過剰活性化の意義が重視されている。T細胞増殖やNK細胞の活性化に重要とされるIL-15はRA患者滑膜および関節液中で増加し、RA滑膜T細胞および滑膜細胞におけるTNFα産生誘導に重要であることが近年示された。本研究は現在のところ原因が不明なRAにおけるIL-15産生亢進の分子的機序に焦点をあて研究を行っている。現在までの検討でRA滑膜組織からのprimaryおよび継代滑膜細胞培養の系を確立し、変形性関節症(OA)を対照としてIL-15mRNAおよび蛋白の発現を多数例で検討した。この結果、従来の報告と異なりRAのみならずOA滑膜組織においてもIL-15mRNA発現は検出され、発現亢進例も少なからず観察された。またFACSとintracellular stainingの手法で検討したIL-15蛋白の発現の検討でも、無刺激RAおよびOA滑膜細胞両者にIL-15蛋白の発現が観察された。PHA、LPS等の刺激ではIL-15の細胞内レベルには変化はなく、培養上清にIL-15の分泌が観察されたがその程度は微量で、このIL-15の構成的産生および刺激依存性誘導にはOA、RA間で有意な相違を認めなかった。以上の観察からIL-15はRA、OAを問わず活性化滑膜細胞により産生され得る、TNFα産生誘導を介した炎症像形成の増幅因子である可能性が示唆された。IL-15はmRNAの転写調節においてはNF-kBおよびIRF-1が重要な因子とされ、また転写後は細胞内蛋白輸送レベルでも調節を受け、現在とくにIL-15の刺激依存性発現時に誘導される転写因子結合活性に注目し検討を進めている。
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