2000 Fiscal Year Annual Research Report
CD26分子によるT細胞免疫応答調節の分子機構の解析
Project/Area Number |
12670418
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細野 治 東京大学, 医科学研究所, 助手 (50190210)
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Keywords | CD26 / dipeptidyl peptidase IV / 免疫応答 / T細胞 |
Research Abstract |
CD26分子はT細胞の表面分子であり、その細胞外ドメインにdipeptidyl peptidase IV(DPPIV)酵素活性を有する。メモリー抗原に反応するメモリーCD4T細胞はCD26分子を選択的に発現し炎症反応や生体防御反応の鍵になるサブセットであり、その機能発現にCD26分子のDPPIV活性が重要な役割を果たしている。またCD26陽性T細胞は慢性関節リウマチなどの炎症局所に増加し、in vitroでもCD26陽性T細胞は単層の血管内皮細胞間を非常に遊走しやすく炎症におけるエフェクターT細胞とも考えられている。これら遊走能を有するT細胞にはガングリオシドGD3も強く発現し、遊走活性に関与することを明らかにし、現在CD26分子との関連を検討している。 DPPIV活性を有するリコンビナント可溶性CD26はin vitroでメモリー抗原に対するT細胞増殖を特異的に増加させ、血清中の可溶性CD26分子やそのDPPIV活性レベルがメモリーT細胞応答に関与している。その一部にはRANTESやSDF-1などのケモカインとの相互作用が考えられる。しかし、CD26がどのような機序でその免疫応答に関与しているかは十分に明らかにされていない。そこで、PPD特異的T細胞株を正常人末梢血より作製し、リコンビナント可溶性CD26を用いて検討した。可溶性CD26は主にマクロファージに取り込まれ、CD86の発現を上昇させた。また抗CD3抗体+抗CD28抗体によるT細胞刺激により可溶性CD26が産生された。T細胞による可溶性CD26産生はIL-2により増加がみられた。可溶性CD26分子が、T細胞と抗原提示細胞間の抗原特異的な免疫応答増強に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)