2000 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス誘導キメラ抗体と樹状細胞を用いた癌免疫療法
Project/Area Number |
12670431
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
石田 禎夫 札幌医科大学, 医学部, 助手 (20305220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 茂 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10305229)
安達 正晃 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (70240926)
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Keywords | アポトーシス / 樹状細胞 / モノクローナル抗体 / erbB-2 |
Research Abstract |
我々が作製したヒト・マウスキメラ抗erbB-2抗体(CH401)の誘導するアポドーシスのメカニズムを明らかにするために、CH401抗体が各MAPKカスケー卜にどのように影響を与えるかを検討した。MAPKカスケードには代表的なものに、増殖因子によって活性化され、増殖や生存シグナルを伝達するERK経路と、炎症性サイトカインやストレスによって活性化され、アポトーシスを誘導するJNK経路の2つがあるが、それぞれの経路についてCH401投与後の活性の変化について検討している。erbB-2高発現細胞株SV22にCH401キメラ抗体を加え、JNKの活性化を18時間後まで時間経過を追って観察した。経過中JNK蛋白の発現量に変化はなかったが、kinase assayではerbB-2高発現細胞株SV22で、2時間後からJNKの活性化が認められ、18時間後もJNKの活性化が認められた。コントロールの細胞ではJNKの活性化は認められなかった。 次にERK経路に与える影響を検討した。活性化ERKを認識するリン酸化特異抗体を用いたWestern blot法でERKのキナーゼ活性を検討したところ、SV22にCH401を加えてもERKの蛋白発現量は変化しなかったが、ERKのキナーゼ活性は抗体添加8時間後から低下した。これらの結果からCH401はアポトーシスに向かうJNK経路を活性化するが、細胞増殖に向かうERKを抑制することが示唆された。 また最終的にアポトーシスを誘導するcaspase3を活性化する機構には、ミトコンドリア損傷により放出されたチトクロームCを介して活性化されるcaspase9と、TNF-αやFasに結合するdeath receptorを介して活性化されるcaspase8の2つの経路があるが、CH401はどちらの経路を介してアポトーシスを誘遵するのか検討中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 佐々木茂: "抗Erb-B2マウス・ヒトキメラモノクローナル抗体のアポトーシス誘導による腫瘍増殖抑制"Biotherapy. 14. 490-492 (2000)
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[Publications] 石田禎夫: "抗体と腫瘍免疫"癌治療と宿主. 13(1). 73-80 (2001)
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[Publications] 佐々木茂: "抗erbB-2抗体による細胞死の誘導"Cytometry Research. 10(1). 37-43 (2000)
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[Publications] 佐々木茂: "癌の免疫療法-現状と展望"日医雑誌. 123(11). 1765-1769 (2000)
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[Publications] 石田禎夫: "樹状細胞を用いた遺伝子治療"Drug Delivery System. 15(2). 98-105 (2000)
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[Publications] 佐々木茂: "胃癌に対するモノクローナル抗体治療"医学のあゆみ. 195(1). 96-100 (2000)