2000 Fiscal Year Annual Research Report
In vitroモデルを用いた慢性関節リウマチ骨破壊の分子機序の解析と治療法開発
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12670443
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 康夫 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (90129495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 寛 東海大学, 医学部, 助教授 (80138643)
上原 立子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (10318933)
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Keywords | 慢性関節リウマチ / 骨破壊 / 破骨細胞 / in vitro model / RANK / RANKL |
Research Abstract |
慢性関節リウマチ(RA)では慢性増殖性滑膜炎により骨・軟骨破壊が起こり高度の関節変形を来す。昨年度,滑膜組織培養によるin vitro骨破壊モデルを確立した。RA滑膜組織を誘導因子,支持細胞非存在下で特殊な表面加工した培養ウェルで培養すると滑膜組織よりリンパ球,紡錘形細胞とマクロファージ様細胞が遊離してくる。これらの細胞は増殖し,培養10-14日後よりHE染色でeosinophilicの細胞質を持つ多核巨細胞の集団が出現してくる。この培養系には多核巨細胞に加え滑膜細胞,マクロファージやCD4+Tリンパ球が混在し,RAにみられるパンヌスに類似しており,RA滑膜組織ではこのような巨細胞形成が6ヶ月まで持続する。巨細胞はtartrate-resistant acid phosphatase(TRAP)活性,vacuolar H+-ATPase,Vitronectin receptorが発現しており微細構造も,微絨毛様,破骨細胞ときわめて類似していた。また,アクチンフィラメントの特異的な分布から極性化していると考えられた。象牙片上で培養すると,強い骨吸収能を有していた。本培養系では,滑膜細胞が増殖,融合,極性化し骨吸収をきたす過程がみられ,RAの炎症性滑膜組織において滑膜細胞が破骨細胞に分化し,骨を破壊してゆく可能性が示唆された。そこで,滑膜組織培養における破骨細胞形成の分子メカニズムを明らかにするため,まずRANK/RANKLによるシグナル伝達系の関与,炎症性サイトカインの関与を検討した。RA滑膜組織培養系にOPGやOPG融合蛋白を添加すると,破骨細胞の形成やハイドロキシアパタイト上の骨吸収窩の形成は約40%抑制された。一方,骨髄細胞や末梢血単球培養にM-CSF,RNKL加え破骨細胞を誘導する系ではOPGはほぼ100%抑制した。滑膜細胞からの破骨細胞誘導にはRANK/RANKLが関与しているが,それ以外の誘導メカニズムも関与している可能性がある。現在,RA滑膜炎の病態にもっとも重要であると考えられている炎症性サイトカインはTNFαであり,TNFαに夜破骨細胞誘導はRANKL非依存性であることが報告されている。現在,TNFα受容体融合蛋白によるTNFblockingの効果を検討中である。また,細胞内システインプロテアーゼ阻害による細胞融合,cell spreadingの抑制,カテプシン阻害による骨基質分解抑制についても検討を行っている。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Suzuki Y,Tsutsumi Y,Nakagawa M, et al: "Osteoclast-like cells in an in vitro model of bone destruction by rheumatoid synovium."Rheumatology (Oxford). (In press).
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[Publications] Uehara R,Suzuki Y,Ichikawa Y: "Methotrexate inhibits osteoblastic differentiation in vitro : Possible mechanism of Methotrexate osteopathy"J Rheumatol. 28(2). 251-256 (2001)
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[Publications] Suzuki Y,Nakagawa M,Sato F, et al: "A primary adrenal steroid,11β-hydroxyandrostenedione, has an osteotropic effect and little androgenic activity"J Steroid Biochem Mol Biol. 74. 203-211 (2000)
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[Publications] 鈴木康夫,市川陽一: "新しいDMARDの効果と限界"最新医学 別冊リウマチ2000. 132-144 (2000)
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[Publications] 鈴木康夫: "ステロイド骨粗鬆症-実際の治療-内科の立場からリウマチ・喘息への長期投与"Clinical Calcium. 10. 1262-1268 (2000)
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[Publications] 鈴木康夫: "リウマチナビゲーター:ステロイドパルス療法"メディカルレビュー社. 224-225 (2001)
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[Publications] 鈴木康夫: "知っておきたい膠原病の新たな診療 抗リウマチ薬-特にメトトレキサートの投与法と副作用について"振興交易(株)医書出版部. 49-63 (2000)