2001 Fiscal Year Annual Research Report
PPARが腸炎において果す役割-マウス実験腸炎の系での解析-
Project/Area Number |
12670460
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松橋 信行 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (10221590)
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Keywords | PPARγ / 腸炎 / 遺伝子チップ / 胃 / DSS / 虚結再灌流 / NF-κB / TNFα |
Research Abstract |
昨年はPPARγリガンドがマウス虚血再灌流腸管傷害やDSS腸炎の系で傷害を強力に防止し、機序としてNF-κBが関与することを示した。リガンドの前投与では傷害が阻止されるが傷害後の投与では無効であった。 本年度は胃の虚血再灌流傷害を作成して急性胃粘膜病変の形成に対するPPARγの関与を解析した。マウス腹腔動脈結紮による虚血再灌流胃傷害はPPARγリガンド前投与により著明に抑制され、PPARγ欠損マウスでは傷害が高度であった。正常の胃ではPPARγやiNOSの発現、apoptosisは見られないが虚血再灌流によりPPARγは上皮や間質細胞の細胞質に発現し、更にPPARγリガンドにより核に移行した。iNOSは虚血再灌流により上皮や血管内皮に発現、apoptosisは虚血再灌流により上皮に誘導されたが、共にリガンド前投与により抑制された。PPARγが核に移行しての炎症関連分子の転写調節、apoptosis抑制がこの傷害抑制の機序として考えられた。 DSS腸炎で誘導される遺伝子のうちPPARγリガンド前投与による傷害抑制に伴って発現が抑制されるものを遺伝子チップにより解析した。その結果、炎症メデイエーター関連(interferon-stimulated protein等)、腸管での水・電解質代謝関連(voltage-dependent anion channel3等)、薬物代謝(cytochrome p450 cyp2D22等)、癌関連(GRO1 oncogene等)等の遺伝子が同定された。サイトカイン関連ではTNFαやIFNγの低下、IL4、IL10、GATA3の増加が示され、PPARγリガンドの傷害抑制作用はTh1/Th2バランスの修飾を介することが示された。 虚血性腸炎患者の急性期にPPARγリガンドを投与したところ症状が著明に軽減した。マウスの実験の結果がヒトにもあてはまるものと考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Osawa E, et al.: "Chemoprevention of aberrant crypt foci of the colon by dehydroepiandrosterone"Life Science. (in press). (2002)
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[Publications] Matsuhashi N, et al.: "PPARy agonists: An effective medication for intestinal ischemia"Lancet. 358(July 7). 75-76 (2001)
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[Publications] Matsuhashi N, et al.: "Role of PPARγ in gastrointestinal injury"Recent Research Development in Immunology. (in press). (2002)
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[Publications] 松橋信行: "PPARγと炎症性腸疾患"医学のあゆみ. 198・11. 761-762 (2001)