2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12670480
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
誉田 芳孝 京都大学, 医学研究科, 助手 (90261867)
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Keywords | TGFα / アポトーシス |
Research Abstract |
我々は、胃粘膜表層粘膜細胞に対し、TGFαが抗アポトーシス作用を有することを見いだした。一方、表層粘液細胞に対するTGFαの作用としては増殖促進作用が知られているが、EGF受容体結合後の細胞内情報伝達はMAPKを介することが知られている。また、肺癌や腎の細胞を用いた検討からは、TGFαがEGF受容体に結合後、PI3K、Akt/PKBを介した系により抗アポトーシス作用を持つことが報告されている。 そこで、表層胃粘液細胞に対するTGFαの抗アポトーシス作用がいかなる細胞内情報伝達系を介しているかを明らかにすることが本研究の目的である。 培養胃粘膜表層粘液細胞にアポトーシスを惹起する培養条件下で、培養液にTGFαを添加すると、TGFαの用量依存性にアポトーシスが軽減された。しかしながら、MAPK系の抑制剤を培養液に添加したり、dominant-negativeのMAPK cDNAをこの細胞に発現させてもTGFαによる抗アポトーシス作用には影響を与えなかった。 同様に培養表層粘液細胞にアポトーシスを惹起する条件下にPI3K、Akt/PKBの抑制剤、もしくはこれらのdominant-negative cDNAを強制発現させても、TGFαによる抗アポトーシス作用が観察された。 近年、ある種の細胞においてNF-κBが抗アポトーシスに関与する細胞内情報伝達系に関与していることが明らかにされている。そこで、培養胃粘膜表層粘液細胞にTGFαを作用させてNF-κBの活性化を観察したところ、TGFαの用量依存的にNF-κBの活性化が観察された。また、NF-κBに関連する各種細胞内情報物質の作用をその抑制剤で抑制または減弱させたところTGFαの抗アポトーシス作用が抑制された。 これらの結果は、胃粘膜表層粘液細胞においてはTGFα刺激が細胞特異的な情報伝達経路を介した抗アポトーシス作用を発揮することを示唆している。
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Research Products
(1 results)