2001 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性サイトカインによる胃癌の血管新生制御機構の解析
Project/Area Number |
12670488
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北台 靖彦 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (10304437)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春間 賢 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40156526)
吉原 正治 広島大学, 保険管理センター, 教授 (20211659)
|
Keywords | インターロイキン8 / 胃癌 / 血管新生 / VEGF |
Research Abstract |
これまで我々は、interleukin-8(IL-8)やvascular endothelial growth factor(VEGF)が胃癌における重要な血管新生因子であることを報告した。さらに、平成12年度の本研究では胃癌細胞がIL-8のみならず、そのレセプターも発現しており、IL-8が胃癌細胞に対し、パラクライン的に血管新生促進作用を示すのみならず、オートクライン的に働き癌転移関連遺伝子の発現を調節していることを明らかにした。しかし、これまで臨床的なIL-8の重要性は明らかとされていなかった。 今回、我々は臨床材料を用い、IL-8の発現レベルが臨床病理学的事項と相関するか否かを検討した。同一組織でVEGF蛋白レベルも測定し、比較検討した。胃癌患者56例の胃癌組織およびその周囲の非癌部粘膜から、内視鏡的に組織を採取し、ELISA法にて、IL-8とVEGF蛋白レベルを測定した。IL-8蛋白レベルは腫瘍組織において非癌部粘膜に比し有意に高値を示したが、VEGF蛋白レベルは腫瘍部・非腫瘍部との間に有意な差は認めなかった。腫瘍組織でのIL-8蛋白レベルは腫瘍進行度および脈管侵襲と、VEGF蛋白レベルは腫瘍進行度およびリンパ節転移とよく相関していた。IL-8とVEGFの両者を高発現している症例では、ともに低発現している症例に比し有意に予後不良であった。しかし、IL-8発現レベルとVEGF発現レベルの間には相関は見られなかった。 以上のことから、IL-8とVEGFは胃癌における独立した予後因子であり、ともに血管新生を介し、胃癌の増殖、転移に重要な役割を担っていることが示唆された。
|
Research Products
(1 results)