2002 Fiscal Year Annual Research Report
重症/難治性肝疾患を克服する新しい遺伝子治療戦略の開発
Project/Area Number |
12670498
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中牟田 誠 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (00294918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠城寺 宗近 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (20253411)
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Keywords | MCP-1 / 7ND / 肝線維化 / 肝硬変症 / ケモカイン / サトカイン / 遺伝子治療 / 肝星細胞 |
Research Abstract |
背景:Monocyte Chemoattractant Protein-1(MCP-1)は単球マクロファージの浸潤を特異的に誘導するケモカインであり、肝疾患を含め多くの病態において、MCP-1が重要な役割を果たしていると考えられている。肝線維(肝硬変)化においては、細胞外マトリックスの産生など肝星細胞が中心的役割を果たしているが、MCP-1が肝星細胞の活性化に関与していることがin vitroで報告されている。しかしながら、MCP-1の作用阻害が実際にin vivoで肝線維化を阻害しうるかについては不明である。方法:我々はMCP-1のC末アミノ酸を7つ除いた(コドン2〜8)変異型MCP-1(7ND)を用いて、MCP-1作用を阻害することで肝線維化が阻害できるかを検討した。肝線維化モデルとしてはジメチルニトロサミン投与ラットを既報に準じて使用した。変異型MCP-1は発現プラスミドDNAを大腿筋肉に1マイクログラム/体重g実験開始時と開始2週後に投与した。結果:変異型MCP-1を発現させたグループはコントロール群に比べて、明らかに組織学的に肝線維化が抑制されていた。これらの事実は、肝組織中のハイドロキシプロリン含量やα平滑筋アクチンの組織学的発現および肝組織中のコラーゲン遺伝子発現の比較においてこれらが有意に抑制されることからも支持された。また、変異型MCP-1の導入によるMCP-1作用の阻害は、肝組織中のインターロイキン12(Th1サイトカイン)量を減少させ、一方、組織中インターロイキン10(Th2サイトカイン)量を増加させた。結論:変異型MCP-1によるMCP-1の阻害は、肝線維化を抑制した。本方法は、遺伝子を筋肉内に投与し発現させるもので、ウイルスベクターなどを使用する必要がなく、簡便で安全性に優れているものと考えられ、今後の臨床応用に期待がもたれた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nakamuta M, et al.: "Bisphenol A diglycidyl ether (BADGE) suppresses tumor necrosis factor-α production as a PPARγ agonist in the murine macrophage-like cell line"Cell Biology International. 26・3. 235-241 (2002)
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[Publications] Uchimura K, Nakamuta M, et al.: "Activation of Retinoic X receptor and peroxisome proliferator-activated receptor-γ inhibits nitric oxide and tumor necrosis factor-α production"Hepatology. 33・1. 91-99 (2001)
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[Publications] Nakamuta M, et al.: "Dimethyl sulfoxide inhibits dimethylnitrosamine-induced hepatic fibrosis in rats"International Journal of Molecular Medicine. 8. 553-560 (2001)
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[Publications] Tada S, Nakamuta M, et al.: "Pirfenidone inhibits dimethylnitrosamine-induced hepatic fibrosis in rats"Clinical and Experimental Pharmacology and Physiology. 28. 522-527 (2001)