2000 Fiscal Year Annual Research Report
ラット新規セリンプロテアーゼの分子生物学的検討および膵疾患マーカーとしての意義
Project/Area Number |
12670508
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
片岡 慶正 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (70185792)
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Keywords | Chymopasin / Serine protease / 膵消化酵素 / リコンビナント蛋白 / 基質特異性 / Chymotrypsin like enzyme-1 |
Research Abstract |
我々はラット膵における新規のセリンプロテアーゼをクローニングし、これをChymopasinと命名した。Western Blottingにより、ラット膵ホモジェネートや膵液胆汁に発現しており、消化酵素と推定された。 予想されるアミノ酸配列との相同性から、このセリンプロテアーゼはヒトにおけるchymotrypsin-like enzyme-1(CTRL-1)に相当するものと考えられた。ヒトCTRL-1は1997年にJanne E.らにより報告された新規の膵消化酵素である。 Chymopasinの基質特異性を検討するため、大腸菌を用いてリコンビナント蛋白を作成し、セリンプロテアーゼに対する合成基質各種を用いて活性を検討した。結果キモトリプシンと同様の基質特異性を示すことが判明し、合成基質に対する活性の有無のみではChymopasinとキモトリプシンは判別できないと考えられた。便中キモトリプシンテストやBT-PABAテストで使用される合成基質とは発色基が異なるだけの基質(それぞれSuc-Ala-Ala-Pro-Phe-MCA、Benzoyl-tyrosil-PABA)に対してもChymopasinが活性を有することが判明した。したがって、これら膵外分泌機能検査の結果はキモトリプシン活性のみならずChymopasinのHomologueであるCTRL-1の活性も関与している可能性がある。またリコンビナントChymopasinはGelatinase活性やFibrin分解活性も有しており、急性膵炎時に局所の傷害に関与するものと考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] J.Sakagami,K.Kataoka,K,Kashima: "Gastrointestinal and endocrine hormones in alcoholic pancreatitis"KAN-TAN-SUI. 40. 141-149 (2000)
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[Publications] K,Kataoka,M.Imoto J.Sakagami: "Chronic Pancreatitis : Relation to Pancreatic Cancer"Journal of Biliary Tract & Pancreas. 21. 1001-1004 (2000)
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[Publications] 片岡慶正,十亀義生,阪上順一,光吉繭子,臼井憲子: "重症急性膵炎の見極めのポイントと治療"内科. 86. 945-953 (2000)