2000 Fiscal Year Annual Research Report
胃粘液開口放出反応の細胞内調節機序の相異と胃粘膜防御機構に関する研究
Project/Area Number |
12670530
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
島本 史夫 大阪医科大学, 医学部, 講師 (00211285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 敦子 大阪医科大学, 医学部, 専攻医
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Keywords | mucin / exocytosis / prostagland in E_2 / prostanoid receptor / cAMP / Ca^<2+> / acetylcholine |
Research Abstract |
プロスタグランディン(PG)E_2による刺激は、アセチルコリン刺激の一過性開口放出反応と異なり持続性の開口放出反応であり、そのピーク値はアセチルコリン刺激時に比べて低値であった。PGE_2はアデニレートサイクレースを活性化して細胞内cAMPを増加させた。PGE_2刺激は細胞外Ca^<2+>を取り込み、さらに細胞内Ca^<2+>を動員して開口放出反応を引き起こした。Ca^<2+>-free下にcAMPを抑制するとPGE_2刺激による開口放出は完全に消失し、PGE_2刺激による開口放出はCa^<2+>とcAMPの両方の細胞内二次伝達物質を介したものであることが明らかにされた。 プロスタグランディン(PG)Eの細胞膜レセプターにはEP1、EP2、EP3、EP4の4つのサブタイプが同定されている。EP1レセプター拮抗薬を加えるとPGE_2刺激による開口放出は抑制されたが、Ca^<2+>-freeにしてもEP1レセプター拮抗薬による開口放出に変化はなく、EP1レセプターはCa^<2+>信号と連結していることが示唆された。EP1レセプター刺激は開口放出をほとんど引き起こさず、EP1レセプター刺激単独では開口放出を引き起こすための細胞内Ca^<2+>濃度上昇は不十分と考えられた。 EP4レセプター刺激は持続的な開口放出を引き起こしたが、PGE_2刺激時の約15%であった。この反応はCa^<2+>非存在下でも影響をうけず、Ca^<2+>非存在下でcAMP阻害によりほとんど消失したことから、EP4レセプターがcAMPを動員して開口放出を活性化していることが示唆された。 EP1レセプター刺激薬とEP4レセプター刺激薬を同時に加えると、EP4レセプター刺激薬単独時の約4倍と開口放出頻度の増強作用が認められた。 以上より、PGE_2はEP4レセプターを刺激してcAMPを活性化し開口放出を引き起こすと同時に、EP1レセプターも刺激してCa^<2+>を動員し、その結果Ca^<2+>がcAMPの感受性を高めることにより開口放出反応をさらに増強すると推察された。 開口放出はPGE_2により促進され、EP1レセプターとEP4レセプターを介して細胞内二次伝達物質であるCa^<2+>とcAMPの相乗効果により調節されていることが判明した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 大西敦子: "プロスタグランディンE_2によるモルモット胃幽門腺粘液細胞からの粘液開口放出の調節"Ulcer Research. 27巻・1号. 79-83 (2000)
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[Publications] 大西敦子: "プロスタグランディンE_2による胃幽門腺粘液開口放出の調節:プロスタノイドレセプターEP_1,EP_4の役割"大阪医科大学雑誌. 59巻・2号. 66-70 (2000)
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[Publications] 中畑孔克: "モルモット胃底腺粘液細胞からの開口放出反応の観察"大阪医科大学雑誌. 59巻・2号. 71-74 (2000)
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[Publications] 中畑孔克: "モルモット胃底腺表層粘液細胞におけるacetylcholineによる粘液開口放出反応のisoproterenolによる修飾"大阪医科大学雑誌. 59巻・3号. 82-86 (2000)
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[Publications] 島本史夫: "NSAID起因性胃病変における粘液生合成と粘液開口放出反応"消化器科. 31巻・2号. 129-136 (2000)