2001 Fiscal Year Annual Research Report
胃粘液開口放出反応の細胞内調節機序の相異と胃粘膜防御機構に関する研究
Project/Area Number |
12670530
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
島本 史夫 大阪医科大学, 医学部, 講師 (00211285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 久美子 大阪医科大学, 医学部, 専攻医
大西 敦子 大阪医科大学, 医学部, 専攻医
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Keywords | mucin / exocytosis / Ca^<2+> / cAMP / acetylcholine / isoproterenol / priming / fusion |
Research Abstract |
1)ACh(1μM)は二相性の開口放出反応を引き起こした。IPR(10μM)単独では開口放出は認められなかったが、AChの開口放出反応を著明に増強した。[Ca^<2+>]。-free状態でのACh刺激では初期相のみとなり、Ca^<2+>を再投与すると一過性の開口放出を引き起こした。IPR(10μM)は、初期相およびCa^<2+>再投与による一過性開口放出を増強したが、定常相は認められなかった。ホルスコリン(1μM)単剤では低頻度持続性開口放出を引き起こし、AChによる初期相の開口放出頻度を著明に増強した。AChは[Ca^<2+>]_iの上昇を介して開口放出頻度を増加させ、一過性高頻度と引き続く持続性低頻度の二相性の開口放出反応を示した。IPRは細胞内cAMP濃度の上昇により、AChによるCa^<2+>調整性開口放出反応を修飾していた。開口放出現象にはdocking, priming, fusionの3つの過程があり、Ca^<2+>はfusionの、ATPがprimingの段階を調節している。IPRはcAMPの集積を介してCa^<2+>依存性のfusion過程でCa^<2+>の親和性を修飾していることを示している。 2)O_2-free溶液潅流で細胞内ATPを枯渇後、AChは持続性開口放出のみを活性化した。IPR処理後ACh刺激でも初期相は消失し、定常相のみ増強した。ATP枯渇により初期相が消失したことは、pre-fusion stateの顆粒が枯渇したことを示している。IPRを加えても初期相は認められなかったが、定常相を増加させた。IPRはATP依存性の過程も修飾していると考えられた。 3)以上より、胃幽門腺粘液細胞ではIPRはcAMPを介してCa^<2+>調節性開口放出反応を増強し、その増強効果は[Ca^<2+>]_iに対する感受性の上昇とpre-fusion stateの顆粒数を増加する事にあることが示された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Atsuko Ohnishi, et al.: "EP1 and EP4 receptors mediate exocytosis evoked by prostaglandin E_2 in guinea-pig antral mucous cells"Experimental Physiology. 86(4). 451-460 (2001)
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[Publications] 藤原祥子, 他: "Ca^<2+>調節性胃幽門腺粘液顆粒開口放出反応の細胞内CL^-濃度による調節"Ulcer Research. 28(2). 168-172 (2001)
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[Publications] 小島 久美子: "モルモット胃幽門腺粘液細胞におけるCa^<2+>調節性開口放出のβ-アゴニストによる修飾"Ulcer Research. 28(2). 173-175 (2001)
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[Publications] 島本史夫, 他: "胃粘液生合成・分泌機序からみた胃粘膜傷害の防御と修復"消化器科. 32(4). 333-341 (2001)
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[Publications] 島本史夫, 他: "粘液の合成と分泌障害"日本臨牀. 60(増2). 195-200 (2002)
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[Publications] Takashi Nakahari, et al.: "Electrolyte Transport Across Exocrine Epithelia : Isoproterenol modulation of Ach-evoked exocytosis in guinea pig antral mucous cells"Australia by the University of Sydney printing Service. 139-140 (2001)
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[Publications] Atsuko Ohnishi, et al.: "Trends in Gastroenterology and Hepatology : Mucin secretion evoked by prostaglandin E_2 in guinea pig antral mucous cells ; role of EP1/EP4 receptors"Springer-Verlag, Tokyo. 224-228 (2001)