2000 Fiscal Year Annual Research Report
MIFトランスジェニックマウスを用いた肺傷害の病態に関する研究
Project/Area Number |
12670540
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮本 顯二 北海道大学, 医療技術短期大学部, 教授 (50190814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西平 順 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30189302)
西村 正治 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00208224)
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Keywords | トランスジェニックマウス / マクロファージ遊走阻止因子 / エンドトキシン / 肺障害 |
Research Abstract |
【目的】MIFは内因性グルココルチコイドに対する拮抗作用を有するユニークなサイトカインとして近年報告されたが、肺における役割は明らかではない。我々は、ラットLPS肺傷害モデルにおいて抗MIF抗体前投与が、肺への好中球の遊走を抑制し、その一部は気管支肺胞洗浄液中のCXCケモカインであるmacrophage inflammatory protein-2の抑制を介していることを報告した(AJRCCM158:573,1998)。MIFの肺傷害における役割をさらに解明するために、MIFトランスジェニックマウスを用い、LPS肺傷害におけるMIFの役割について検討した。 【方法】MIFトランスジェニックマウス(Tg)およびコントロールとしてそのtransgene-negative littermates(non-Tg)を用い、以下の実験を行った。 (実験1)Tgとnon-TgにおけるMIFの発現:無刺激における(1)血清MIF濃度、(2)肺MIFmRNA発現、(3)肺の病理組織を比較した。(実験2)Tgとnon-Tgに対するLPS投与の影響:Tgとnon-Tgに対しLPS25mg/kgを腹腔内投与し(1)血清MIF濃度、(2)肺の病理組織を比較した。 【結果】(実験1)Tgではnon-Tgと比較して血清MIF濃度は有意に高値を示し(46.9±9.4ng/ml,n=6vs.17.7±6.7ng/ml,n=6,p<0.01)、肺でのmRNA発現も増強していた。しかし、無刺激においては病理学的には変化は認められなかった。(実験2)LPS腹腔内投与24時間後において血清MIF濃度はLPS非投与群と比較してnon-Tg(15.9±5.8ng/ml,n=12vs.17.7±6.7ng/ml,n=6,p<0.05)では高値を示したが、Tg(39.7±7.6ng/ml,n=12vs.46.9±9.4ng/ml,n=6,NS)では高い傾向にとどまり、Tg,non-Tg間では差は認められなかった(39.7±7.6ng/ml,n=12vs.15.9±5.8ng/ml,n=12,NS)。また、病理組織上、肺への好中球集積は明らかではなかった。 【考察】今回の研究において、無刺激ではTgでMIFが血清、肺においてはnon-Tgと比較して上昇していることが確かめられた。しかし、LPS投与24時間後においては血清MIF濃度はTg,non-Tg間で差がみられず、肺への好中球集積が認められなかった。以上の結果より、今後LPSの投与量、投与方法、時間的な検討などが必要と考えられる。
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