2000 Fiscal Year Annual Research Report
光トラップを用いた白血球における接着分子の局所的効果の解明
Project/Area Number |
12670544
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢内 勝 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (00210287)
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Keywords | β2インテグリン / 好中球 / 接着 / 貧食 / 遊走 |
Research Abstract |
光トラップを用いた白血球における接着分子の局所的効果の解明 1)β2インテグリンが好中球の細胞骨格に与える効果の検討 β2インテグリンは、好中球表面に発現する接着分子に一つで、CD18とCD11a,b,またはcとヘテロダイマーを形成している。好中球表面に発現したCD18に抗CD18抗体と結合させ、抗CD18抗体の集合を生じさせるとβ2インテグリンの活性化がおこることが知られている。二次抗体をラベルしたラテックスマイクロビーズに抗CD18抗体を結合させた(抗CD18ビーズ)。球形の休止状態にある好中球において、一方の光トラップで抗CD18ビーズを細胞膜に付着させて、他方の光トラップでその直下の細胞質粘弾性の変化を調べることにより、β2インテグリンが好中球の細胞骨格に与える効果を検討した。抗CD18ビーズの付着後30秒以内に付着部直下の細胞質粘弾性の低下がみられたが、二次抗体のみのビーズの付着では、細胞質粘弾性の低下はみられなかった。細胞膜局所のβ2インテグリンの活性化で、その直下の細胞皮質にアクチンの重合を生じたと考えられる。 2)β2インテグリンが休止好中球の局所に及ぼす効果の検討 β2インテグリンは、好中球の強固な接着、貪食、内皮間遊走に関与している。球形の休止状態にある好中球において、一方の光トラップで細胞を溶液中に浮遊した状態で捕捉し、他方の光トラップ抗CD18ビーズ捕捉して細胞膜に付着させた。10秒以内にビーズが好中球に接着し、100秒でビーズ接着部位から仮足を進展させビーズを貪食した。β2インテグリンに仮足を出させる作用があることを示す初めての知見である。さらに、β2インテグリンによる仮足形成作用は、myosin light chain kinase阻害薬であるML-9やmyosin ATPase阻害薬のBDMによりdose dependentに阻害された。β2インテグリン刺激で生じる仮足には、アクチン-ミオシンによる細胞皮質の収縮が重要なことが示唆された。
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