2000 Fiscal Year Annual Research Report
胸膜悪性中皮腫における癌抑制遺伝子の同定とNF2、p16遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
12670556
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
関戸 好孝 名古屋大学, 医学部, 講師 (00311712)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横井 豊治 名古屋大学, 医学部, 教授 (40200886)
下方 薫 名古屋大学, 医学部, 教授 (10022906)
|
Keywords | 胸膜悪性中皮腫 / β-catenin遺伝子 / 染色体3p21.3 / ホモザイガス欠失 / 点突然変異 / クローニング |
Research Abstract |
胸膜悪性中皮腫および原発性肺癌に対し、染色体3p21.3領域に存在するβ-catenin遺伝子の変異・発現解析を行った。原発性肺腫瘍167例(手術標本91例および細胞株76例)中、5例においてexon 3における点突然変異が検出され、手術標本においては体細胞突然変異であることが明らかにされた。3例はリン酸化をうけるセリン、スレオニン残基が変異を受けており、β-cateninの癌遺伝子としての役割が示唆された。一方、10例の胸膜悪性中皮腫(手術標本2例および細胞株8例)を解析したところ、細胞株NCI-H28株においてβ-catenin遺伝子のホモザイガス欠失が検出された。NCI-H28株から抽出した高分子ゲノムDNAを用い、LambdaFIXIIファージゲノムライブラリーを構築し、その再構成領域のクローニングを行い、最終的に3つのファージクローンを詳細に検討した。NCI-H28株においてはexon1の下流約13kb(intron1内)において再構成が起きており、exon2以降のすべでのβ-catenin遺伝子exonが欠失していること、また残ったexon1はキメラの転写産物を発現しないことなどが明らかにされた。我々は再構成領域をrbc(rearranged to β-catenin)と名付け、rbc領域は同様に染色体3番に存在することを確認した。現在、ホモザイガス欠失の大きさ及び、欠失内に存在する遺伝子の同定および変異・発現に関して解析中である。他の10例の胸膜悪性中皮腫に対してはβ-cateninの発現、およびcoding領域における点突然変異は検出されなかった。さらに、日本人胸膜悪性中皮腫患者より細胞株2株を樹立中でありその細胞生物学的な特性を解析中である。
|