2001 Fiscal Year Annual Research Report
肺気腫化へのヒアルロン酸とヒアルロン酸接着分子CD44の関与
Project/Area Number |
12670577
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
塩谷 寿美恵 東海大学, 医学部, 助教授 (20102840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷垣 俊守 東海大学, 医学部, 講師 (90246091)
辻 千鶴子 東海大学, 医学部, 講師 (80130079)
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Keywords | 肺気腫 / ヒアルロン酸 / 誘電緩和法 / CD44 |
Research Abstract |
目的:肺気腫における肺胞壁消失機序として肺間質を構成する高分子、特にヒアルロン酸の量または分子構造変化が肺間質での水分保持を難しくし、その結果肺胞壁の乾燥→硬化→薄壁化→脆弱化を導き肺気腫に特有の肺胞壁破壊が引き起こされるのではないかという仮説のもとに、肺胞壁でのヒアルロン酸分子の変化や、その代謝に関与するヒアルロン酸接着分子CD44の肺気腫化に果たす役割を検討する。 動物実験モデル肺による検討 ウィスター系ラット雄10週令を用い、60%酸素長期曝露(4週間)により肺気腫モデルを作成した。今年度はさらにヒアルロニダーゼ20mg/kg静注により新たな肺気腫モデル作成を行った。 気腫化肺組織のヒアルロン酸定量 60%酸素4週間曝露肺気腫モデル肺のホモジネート、気管支肺胞洗浄上清、血清のヒアルロン酸含量をhyaluronan kitを用いて定量した。今回の測定では気腫化肺で有意なヒアルロン酸含量低下は認められなかった。しかし、全肺野組織切片での検討ではモデル肺には気腫化部分と正常部分が混在しており、今後は気腫化部分のみのサンプルでの測定が必要と考えている。 気腫化肺の組織水の状態変化 肺気腫モデル肺を用い誘電緩和法(TDR)で気腫化肺組織の水分子の運動状態の変化を測定した。摘出肺組織に35psecのステップパルスを入射、300KHz〜20GHzの広帯域、高周波域の複素誘電率を測定した結果、気腫化領域ではむしろ自由水量が増加していた。この結果は気腫化肺組織でヒアルロン酸など間質高分子の減少が自由水を構造化しにくくしていることが考えられた。今後、ヒアルロニダーゼ静注によりヒアルロン酸含量を低下させた肺で同様の結果が得られるかにつき検討を行う。 気腫化肺組織および肺胞マクロファージのCD44の発現 60%酸素4週間曝露肺組織、ヒアルロニダーゼ静注後1週、2週の肺組織、それぞれのモデルの気管支肺胞洗浄にて得られた肺胞マクロファージにおけるCD44の発現をRT-PCR法で比較した。気腫化肺より採取した肺胞マクロファージではコントロール肺と比べCD44の発現が低下していた。
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