2000 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠呼吸障害がなぜ成人病の危険因子となるか-動物実験モデルによる基礎的検討-
Project/Area Number |
12670578
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
桑平 一郎 東海大学, 医学部, 助教授 (60186567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬上 喜裕 東海大学, 医学部, 助手 (60276798)
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Keywords | 睡眠無呼吸症候群 / 間歇的低酸素 / 呼吸 / 循環 / 動物モデル |
Research Abstract |
本年度は、ヒトの睡眠時無呼吸の病態に近い、短時間のうちに間欠的低酸素曝露が繰り返される実験系を作製し、睡眠中の低酸素血症が呼吸循環動態に対し如何なる影響を与えるかについて検討した。 電磁弁とリレー回路にタイマーをセットし、圧縮空気と純窒素を短時間の内に吹き込むことで、1日の中で決められた時間に、間歇的な低酸素曝露を繰り返すことが可能なチャンバーを作製した。対象は、雄Sprague-Dawley Rat計20匹である。(1)1サイクル4分間、すなわち1分で10%O_2、3分で室内気吸入に戻る間欠的曝露を、1日90回(計6時間)、4週間繰り返す群と、(2)室内気対照群とに分け検討した(各n=10)。4週間の間歇的低酸素曝露後、同じサイクルで室内気-10%O_2-室内気の吸入を行った際の血圧、脈拍、動脈血ガス、ヘモグロビン濃度([Hb])の変化を測定した。測定用カテーテルは、尾動脈より挿入、麻酔から完全に覚醒後計測を行った。 両群間で室内気吸入時の各指標に有意差はみられず、間歇的低酸素曝露を加えた(1)群でも全身性高血圧、多血症は生じなかった。しかし、低酸素中の脈拍数増加は、(1)群では有意に低値であり、[Hb]は(1)群のみで低酸素時一過性に上昇した。低酸素時の血圧、動脈血ガスには両群間で有意差は認められなかった。 このレベルの間欠的低酸素曝露では多血症や全身性高血圧など危険な病態は生じないが、脈拍および[Hb]の変化には両群間で差があり、低酸素血症に対し、異なる現象には異なる閾値が存在することが示唆された。また、これまでの申請者の研究から、[Hb]の一過性上昇は、低酸素が脾臓のα受容体の反応性を亢進し、強い脾臓収縮を来たすためと考えられるが、極めて短時間の低酸素暴露を繰り返すことでも、同様の現象が誘導されることが示された。今後さらに1日の累積曝露時間を増やし、病態との関連に着き検討を継続する。
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Research Products
(1 results)