2001 Fiscal Year Annual Research Report
間質性肺炎における血管内皮細胞接着阻止、組織浸潤抑制による基礎的治療研究
Project/Area Number |
12670581
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
吾妻 安良太 日本医科大学, 医学部, 講師 (10184194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 翔二 日本医科大学, 医学部, 教授 (40256912)
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Keywords | エリスロマイシン / マクロライド / 肺線維症 / 間質性肺炎 / 好中球 / 接着分子 / 血管内皮 / VCAM-1 |
Research Abstract |
目的:エリスロマイシン(EM)をはじめとする14員環マクロライドが慢性気道炎症に有効であることから、その機序として炎症細胞の抑制作用が注目されている。我々は昨年に引き続きブレオマイシン(BLM)肺線維症マウスモデルに対する14員環マクロライド(14-MRMLs)の抑制効果を検討し、その抗炎症、抗線維化作用機序解明のため、BLM肺傷害における好中球ならびにマクロファージ、リンパ球の役割、血管内皮間接着分子であるE-セレクチン、P-セレクチン、VCAM-1やTNFαの発現に対する14員環マクロライドの抑制作用について経時的に検討した。 対象と方法:7週齢、ICR雄マウスを用い、生食投与群、BLM単独投与群、BLMと14員環マクロライドであるEM、ロキシスロマイシン(RXM)、クラリスロマイシン(CAM)併用投与群を設定し、BLM投与後28日の肺組織のハイトロキシプロリン(HOP)測定と病理組織学的比較検討を行った。BLM投与後、0時間から168時間まで経時的に気管支肺胞洗浄を行い、総細胞数と細胞分画を算定した。また肺組織からRNAを単離し、RT-PCR法によりE-セレクチン、P-セレクチン、VCAM-1、ICAM-1、TNFα mRNAの発現を経時的に検討した。 結果と考察: 1)BLM誘発肺傷害ならびに肺線維症に対し、14員環マクロライドが抑制効果を示した。2)好中球はBLM投与後、1日目と9日目以降をピークに気腔内に浸潤することが確認された。3)14員環マクロライド薬はVCAM-1とTNFαの発現をmRNAレベルで抑制することにより好中球ならびにマクロファージの気腔内への浸潤を抑制し急性炎症期を抑制する結果、線維化を軽減させるものと考えられた。まとめに論文投稿した。 本研究の結果から,臨床で間質性肺炎の急性増悪あるいは急性肺傷害を起こし得る病態にある患者に対し,14-MRMLsの予防効果が期待できると考えられる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] A. Azuma, Y.J. Li, J. Usuki, A. Aoyama, T. Enomoto, S. Kudoh: "Fourteen Membered-Ring Macrolides Inhibit The VCAM-1 mRNA Induction Preventing Neutrophil Induced Lung Injuey and Fibrosis in Bleomycin Callemged Mice"Chest. 120S. 20-22 (2001)
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[Publications] Arata Azuma: "Novel Activity of Erythromycin Derivatives on Inflammatory Lung Diseases"Recent Res. Developments In Respir. & Crit. Care Medicine. 1. 191-207 (2002)
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[Publications] 李 英姫, 吾妻安良太, 工藤翔二ほか: "プレオマイシン肺線維症に対する14員環マクロライドの抑制作用の検討"Jpn. J. Antibiotics. 54 Suppl.A. 87-91 (2001)
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[Publications] 李 英姫, 吾妻安良太, 工藤翔二ほか: "プレオマイシン急性肺傷害に対する14員環マクロライドの抑制作用"J. Nippon Medical School. 69(3)(in press). (2002)
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[Publications] S. Kudoh, A. Azuma, J. Tamaoki, H. Takizawa, H. Goto, K. Nakata: "Macrolide Antibiotics, ed. by S Omura(in press)"Novel Activity of Erythromycin and Its Derivatives. 533-569 (2002)