2002 Fiscal Year Annual Research Report
無セルロプラスミン血症におけるミスセンス突然変異の意義と神経細胞傷害機構の解析
Project/Area Number |
12670600
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Research Institution | HAMAMATSU UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
宮嶋 裕明 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (90221613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 良知 浜松医科大学, 医学部付属病院, 助手 (90303560)
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Keywords | セルロプラスミン / 銅 / 鉄 / フェロオキシダーゼ活性 / ミスセンス変異 / 小胞体ストレス / 銅抱合能 / 蛋白発現 |
Research Abstract |
無セルロプラスミン血症は、血清のセルロプラスミンの欠損と、脳・肝・膵をはじめとする全身の諸臓器への鉄の沈着を来し、神経症状、網膜変性、糖尿病を呈する常染色体劣性遺伝の鉄代謝異常症で、我々が1987年に世界で始めて一家系を報告した。我々の症例を含め現在までに国内24家系、海外15家系が報告されている。既に21の遺伝子異常が同定されているが、ほとんどはTruncation mutationである。今回は、新たに同定したミスセンス変異を培養細胞で発現させ、変異タンパクの細胞内挙動を検討した。 いずれの症例も、臨床的には従来より報告されている三症候が認められ、脳をはじめとした組織への鉄蓄積を呈している。同定したミスセンス変異を持つcDNAを、セルロプラスミンを発現していないチャイニーズ・ハムスターの卵巣細胞に導入し、蛋白を発現させて解析した。その結果、1)ミスセンス変異による変異蛋白Pro177Argの場合、変異蛋白は小胞体にとどまり、ゴルジ装置への移動が起こらないことがわかった。このため、このミスセンス変異では異常蛋白の蓄積が小胞体におこり、これによる小胞体ストレスが症状の発現に関与する可能性が考えられた。同様の細胞内挙動を示す遺伝子異常に、Gly176Argがあった。 2)セルロプラスミンは銅を抱合することによってフェロオキシダーゼ活性をもつが、ミスセンス変異による変異蛋白Ala331Asp、Gly637Argの場合は、銅を抱合しないためフェロオキシダーゼ活性のない蛋白が分泌された。この変異蛋白は速やかに分解された。 3)変異蛋白His798Glnの場合は、銅を抱合するがフェロオキシダーゼ活性を持たない蛋白を分泌した。 4)変異蛋白lle9Pheの場合は、銅を抱合しフェロオキシダーゼ活性も持つが、分泌後の血中半減期が短縮しており分解がある程度亢進している可能性を示した。 以上のように、ミスセンス変異の位置により、変異タンパクの細胞内挙動は異なることがわかった。今後はセルロプラスミン蛋白の三次構造と変異部位とを対照して解析、検討する必要がある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Miyajima H.: "Increased lipid peroxidation and mitochondrial dysfunction in aceruloplasminemia brains"Blood Cells Mol Dis. 29・3. 433-438 (2002)
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[Publications] Miyajima H.: "Genetic disorders affecting proteins of iron and copper metabolism : Clinical implications"Int Med. 41・10. 762-769 (2002)
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[Publications] Miyajima H.: "Aceruloplasminemia, an inherited disorder of iron metabolism"Biometals. 16・1. 205-213 (2003)
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[Publications] Kaneko K.: "Astrocytic deformity and globular structures are characteristic of The brains of patients with aceruloplasminemia"J Neuropathol Exp Neurol. 61・12. 1069-1077 (2002)
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[Publications] Hellman N.E.: "Biochemical analysis of a missense mutation in aceruloplasminemia"J Biol Chem. 277・2. 1375-1380 (2002)
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[Publications] Miyajima H.: "Glucose and oxygen hypometabolism in a aceruloplasminemia brains"Int Med. 41・3. 186-190 (2002)