2000 Fiscal Year Annual Research Report
代償性心肥大から心不全への病態進行と心筋エネルギー代謝
Project/Area Number |
12670655
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
能澤 孝 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (00180737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
麻野井 英次 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (00150128)
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Keywords | 心不全 / 代謝 / グルコース / 脂肪酸 / 心肥大 / ラット / 高血圧 |
Research Abstract |
本研究では、ダール食塩感受性ラットにおいて代償性心肥大期から心不全期にいたるまでの心不全進展過程におけるエネルギー代謝について検討した。心筋脂肪酸代謝は^<131>I-iodophenyl-9-methylpentadecanoic acid(9MPA)を用い、グルコース代謝は^<14>C-deoxyglucoseを用いた。心筋の脂肪酸およびグルコースの取り込みとその心筋内分布を定量的autoradiography法(バイオイメージングアナライザーBAS3000)により、また薄層クロマトグラフィー法により9MPAの代謝産物を評価した。 24時間絶食後の心筋代謝は、代償性心肥大期にはエネルギー基質の相対的な割合は脂肪酸からグルコースヘ移行した。しかし、心筋取り込みの絶対量はグルコースのみならず脂肪酸も増加した。一方、取り込まれた脂肪酸がベータ酸化を受ける割合は代償性心肥大期には既に低下していた。心不全期には脂肪酸の取り込みは低下し、ベータ酸化が一層低下した。このように心不全期にはエネルギー基質が心肥大期より一層グルコースヘ移行した。食餌負荷後には脂肪酸の取り込みが抑制されグルコース取り込みが増加するが、そのグルコース取り込み増加率は、心肥大期には食塩非感受性ラットに比べ低下していた。つまり、代償性心肥大期にはベータ酸化が低下するのみならず、最大グルコース取り込み能も低下している可能性が示唆された。 これまでの本研究により明らかになった点は、1)代償性心肥大期にはエネルギー基質がグルコースへ移行するが脂肪酸の心筋取り込みの絶対量もむしろ増加している。しかし、取り込まれた脂肪酸の代謝能は低下している。2)代償性心肥大期にはグルコースの取り込み予備能の低下が示唆された。グルコースクランプ法を用いて心肥大期、心不全期のグルコース取り込み予備能を評価する実験を進行中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] A.Igawa et.al.: "Heterogeneous cardiac sympathetic innervation in heart failure after myocardial infarction of rats"Am J Physiol (Heart Circ Physiol). 278. H1134-H1141 (2000)
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[Publications] S.Joho et.al.: "Time-varying spectral analysis of heart rate and left ventricular pressure variability during balloon coronary occlusion in humans"J Am Coll Cardiol. 34. 1924-1931 (1999)
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[Publications] T.Nozawa et.al.: "Dual-tracer assessment of coupling between cardiac sympathetic neuronal function and downregulation of β receptors during development of hypertensive heart failure of rats"Circulation. 97. 2359-2367 (1998)