2000 Fiscal Year Annual Research Report
不全心筋ミトコンドリアにおける酸素ラジカル産生の制御機構の解明
Project/Area Number |
12670676
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
筒井 裕之 九州大学, 医学部・附属病院, 講師 (70264017)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
康 東天 九州大学, 医学部・附属病院, 助教授 (80214716)
内海 英雄 九州大学, 薬学研究院, 教授 (20101694)
久保田 徹 九州大学, 医学研究院, 助手 (40325444)
葛西 宏 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (40152615)
|
Keywords | 心不全 / 心筋梗塞 / リモデリング / 酸化ストレス / ミトコンドリア / 活性酸素種 / 抗酸化薬 |
Research Abstract |
スーパーオキサイドアニオン(・O_2-)やヒドロキシラジカル(・OH)などの活性酸素種は、心筋収縮や細胞構築を障害し、心不全の形成・進展に関与すると考えられる。本研究では、不全心筋における酸化ストレスの発生機序およびその役割を検討した。心不全に陥った心筋では・O_2-とH_2O_2由来の・OHが有意に増加した。さらに、 ・O_2-は不全心のミトコンドリア電子伝達系複合体Iで産生された。また、心筋梗塞モデルの非梗塞部心筋でも、・OHが増加しており、・OH消去薬であるジメチルチオウレアの慢性投与により、心筋でのROS産生が抑制され、同時に左室リモデリングと収縮不全が改善した。不全心筋ミトコンドリアでは脂質過酸化が生じており、ミトコンドリアDNAのコピー数が減少しており、mtDNAでコードされたmtRNAも同様に減少した。さらに、複合体I、III、IVの酵素活性も低下した。一方、核DNAにコードされた複合体IIは正常に保たれた。したがって、ミトコンドリアはROSの主要な産生源であると同時に、ROSによる障害のターゲットとなり、さらなるミトコンドリアでの酸化ストレスを亢進させると考えられた。したがって、ミトコンドリアでの酸化ストレスは心不全の形成・進展に密接に関与することが明らかとなった。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Ide T,Tsutsui,H, et al: "Direct evidence for increased hydroxyl radicals from superoxide in the failing myocardium."Circulation Research. 86卷. 152-157 (2000)
-
[Publications] Kinugawa S,Tsutsui,H, et al: "Treatment of dimethythiourea prevents left ventricular remodeling and failure after experimental myocardial infarction in mice."Circulation Research. 87卷. 392-398 (2000)
-
[Publications] Tsutsui H, et al: "Greater susceptibility of failing cardiac myocytes to oxygen free radical-mediated injury."Cardiovascular Research. 49卷・1号. 103-109 (2001)