2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト血液単核球由来-血管平滑筋様細胞の分離・同定とこの細胞の血管病変に於ける役割
Project/Area Number |
12670680
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
杉山 正悟 熊本大学, 附属病院, 助手 (90274711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久木山 清貴 熊本大学, 附属病院, 講師 (00225129)
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Keywords | 動脈硬化症 / 細胞分化 / 平滑筋細胞 / 再狭窄 / 血球 |
Research Abstract |
動脈硬化は虚血性心疾患、脳血管障害など種々の全身性血管疾患に関与しており、病理学的特徴から粥状動脈硬化病変と線維筋性硬化病変に大別される。線維筋性肥厚動脈硬化病変形成のメカニズムについては、中膜平滑筋が脱分化・遊走し内膜において増殖して細胞外基質を産生・蓄積するとの説が広く受け入れられているが、「この線維筋性硬化病変形成に血液単核球由来の線維細胞様-平滑筋細胞様細胞が関与している」との仮説を検証した。ヒト末梢血単核球分画をdensity gradientにより分離しヒト血管平滑筋培養用の培地にて培養した。培養3日目から培養dishに接着したspindle shape cellが出現し、この細胞は30日間以上に渡って培養可能であった。この細胞は分裂増殖能を有し細胞形態は大きくなりpassageが可能であった。25日培養した細胞のphenotypeを検討したところ、このspindle shape cellは、血管平滑筋α-actinを発現していることが明らかとなった。血管平滑筋α-actinの発現はRT-PCR、Western blotting、細胞免疫染色にて確認した。また、この細胞は細胞外基質であるコラーゲンtype-I,type-IIIを発現していることがRT-PCRにて確認された。ヒト末梢血単核球分画を比重d=1.068を基準として高比重末梢血単核球分画と低比重末梢血単核球分画に分けて培養したところ血管平滑筋α-actin陽性spindle shape cellは、高比重末梢血単核球分画から出現する事が確認された。この細胞におけるマクロファージマーカーは陰性であった。以上より、我々はヒト末梢血単核球分画から細胞外基質の産生能を有し血管平滑筋α-actinを発現しているspindle shape cell;-血液細胞-単核球由来の線維細胞様-平滑筋細胞様細胞が出現することを見出した。
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