2001 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮増殖因子によるマトリックスメタロプロテアーゼの活性制御に関する研究
Project/Area Number |
12670688
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Research Institution | Omiya Medical Center, Jichi Medical School |
Principal Investigator |
上羽 洋人 自治医科大学, 医学部, 助手 (80316546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 正舒 自治医科大学, 医学部, 教授 (40161286)
黒木 昌寿 自治医科大学, 医学部, 助教授 (90215096)
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Keywords | VEGF / HGF / MMP / HUVEC / THP-1 |
Research Abstract |
MMPはプラーク破綻において重要な役割を演じているが、その産生調節機序については不明な点が多い。本研究の当初の目的は、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の活性制御における血管内皮憎殖因子(VEGF)の役割について検討することであり、VEGFが単球・血管内皮細胞の共存培養系におけるMMPの発現および活性を制御しているのではないかと予想していたが、研究が進むにつれて、肝細胞増殖因子(HGF)が重要な役割を演じていることが明らかとなってきたため、研究計画を一部変更して以下のような成果を得た。 動脈硬化病変における単球/マクロファージによるMMP産生を検討するin vitroモデルとして、ヒト単球由来のTHP-1とヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の共存培養系を確立した。THP-1とHUVECを16時間共存培養後、培養上清中のMMP-2、MMP-9、HGF、およびVEGFをELISA法により測定し、MMPの産生に及ぼすHGFとVEGFの役割を中和抗体を用いて検討した。MMP-9はTHP-1単独培養に比してHUVECとの共存培養によって約3.3倍に増加したが、MMP-2は不変であった。HGFとVEGFはともに共存培養によって有意に増加し、抗VEGF抗体は共存培養によるMMP-9の産生増加に有意な影響を及ぼさなかったが、抗HGF抗体はコントロールIgGに比して共存培養によるMMP-9の産生増加を約1.7倍に有意に増強した。以上より、THP-1とHUVECの共存培養によってMMP-9の産生は増加するが、HGFはこのMMP-9の産生増加に対して抑制的に働いていることが明らかとなった。このことは、HGFがプラーク破綻に対して抑制的に作用していることを示唆するものであり、急性冠症候群の治療を考える上で興味深い。
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