2001 Fiscal Year Annual Research Report
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12670692
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
斎藤 司 昭和大学, 医学部, 講師 (40205662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 紳 昭和大学, 医学部, 助教授 (00201335)
酒井 哲郎 昭和大学, 医学部, 助手 (60281367)
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Keywords | 肺静脈 / 心房細動 / 異所性自動能 / 形態学 |
Research Abstract |
剖検心を用い、生前に心房細動などの心房性不整脈を有した群と、心房性不整脈の既往のない群に分け検討した。方法は、心外膜を注意深く剥離し、左心房および肺静脈周囲の心筋の走行を肉眼的に観察した後、組織標本を作製し検討した。また連続切片を用い、コンピュータによる三次元立体構築を施行した。検索したほとんどの肺静脈周囲には心房筋が洋服の「袖」のように肺門方向へ延びており、一部には肺門部まで達しているものも見られた。その長さの平均値では左上肺静脈が14.5mmと最も長く、下肺静脈より上肺静脈の方が長かった。肺静脈開口部の横径は左下肺静脈を除いて心房性不整脈を有した群で有意に拡大していた。心筋の走向は多くは肺静脈開口部から肺門へ向かって筋束が整然と輪状に積み重なって延びるが、なかには輪状の筋束に加え左心房後壁から肺静脈上に斜走あるいは縦走したりする筋束を認め、互いに交差したり、筋束の分岐・融合が複雑となり著しく走向の乱れたものもあった。この部位を組織学的に観察すると横走する心筋層と縦走、斜走する心筋層が入り組んでいるのを認めた。三次元立体構築でもやはり走向は多様で心筋の配列が錯綜するのを確認した。しかしこれらの所見は、心房性不整脈の有無にかかわらずヒトの肺静脈に共通に認められる特徴であった。組織学的検討では肺静脈末梢側で心筋細胞が結合織に囲まれて小集団をなし島状に散在しているのがみられ、肺静脈末梢ほど心筋細胞の膨化、筋原線維の粗鬆化、線維化を多く認めた。また肺静脈末梢側に細胞横径の小さい心筋細胞が小集塊を形成して洞結節類似の構造を呈したり、細胞が個々に解離し、散在して存在するのを認めた。 肺静脈周囲の心筋は走行のみならず組織学的にも多様な形態を呈しており、心房筋の不均一な筋走向や心房筋細胞のheterogeneityが不整脈発生に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 斎藤 司: "ヒト肺静脈の形態学的特徴 -心房細動との関連から-"不整脈. 17・1. 14-21 (2000)
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[Publications] TSUKASA SATIO: "Left Atrial Myocardial Extension onto Pulmonary Veins in Humans ; Anatomic Observations Relevant for Atrial Arrhythmias"J Cardiovasc Electrophysiol. 11・8. 888-894 (2000)
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[Publications] 斎藤 司: "Practical Seminar 不整脈 第2版"梅澤俊彦. 341 (2000)