2000 Fiscal Year Annual Research Report
不全心筋細胞のリモデリングにおけるマトリックスプロテナーゼの役割
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12670695
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小野寺 達之 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90194612)
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Keywords | Heart failure / Hypertrophy / Remodeling / Isolated myocyte / Matrix proteinase |
Research Abstract |
今年度は、自然発症心不全ラットの細胞レベルでのリモデリングと収縮、拡張能との関係について評価した。 【実験方法】 1.実験モデル 雄性自然発症高血圧心不全ラット(SHHFラット)を用い経時的(生後3,6,9,12,15,18,21,24月齢)に以下の実験に供した。 2.心エコー ペントバルビタールで麻酔後、7.5MHzプローブを使用し、収縮期、拡張期の左室内径、前壁厚、後壁厚を測定、収縮率を測定した。 3.心カテーテル ラット右総頚動脈よりミラーカチーテルを左室内に挿入し左室圧、dP/dtを測定した。 4.単離心筋細胞の作製 上記ラット摘出心をcollagenaseを含むJokliks mediaで潅流した後、左室心筋を切離し、単離心筋細胞を作製しa),b)のプロトコールを行った。 a)細胞外Ca濃度1.0mMの条件下で潅流し、0.5Hzのfield stimulationを加え、細胞収縮を発生させた。光学的方法(edge detection system)により単離心筋細胞の%収縮率、%弛緩率、収縮速度、弛緩速度を測定した。 b)単離心筋細胞を1.5%glutaraldehydeで固定した後、Computer image analyzerにより組織学的に心筋細胞の長径を測定するとともに、Coulter Channelyzerを使用し平均心筋細胞体積を測定した。平均細胞体積/平均細胞長より平均断面積を算出し、さらに平均断面積より平均細胞径を算出した。平均細胞体積、細胞長、断面積、平均細胞長/平均細胞径を指標とし、心筋細胞のリモデリングについて評価した。 【結果、結論】 SHHFラットでは、生後3月齢ですでに左室心筋細胞断面積は最大値(350-400μm^2)に達し、その後変化はなかった。これに対し左室心筋細胞長は経時的に持続的に延長した。その結果心筋細胞長/細胞径は生後12月齢より有意に増加し、非代償的リモデリングが始まったことが確認された。また同時期に心エコー上左室径の増加、収縮率の低下が見られ、また単離心筋細胞レベルでも収縮、拡張機能の低下が観察された。次年度ではマトリックスプロテナーゼ阻害薬を投与し、同様のプロトコールを行い、不全心筋細胞のリモデリングおよび機能不全に対する、マトリックスプロテナーゼの果たす役割について検討する。
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