拡張型心筋症患者および本症モデル動物におけるウィルス遺伝子解析と微量元素との関連

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12670705
• Research Institution: Osaka Medical College
• Principal Investigator: 藤岡 重和 大阪医科大学, 医学部, 助手 (20319528)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 出口 寛文 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (90131341) ; 北浦 泰 大阪医科大学, 医学部, 教授 (50084950) ; 清水 章 大阪医科大学, 医学部, 教授 (00028581) ; 浮村 聡 大阪医科大学, 医学部, 助手 (50257862)
• Keywords: 拡張型心筋症 / 心筋炎 / エンテロウイルス / コクサッキーウイルス / C型肝炎ウイルス / アデノウイルス / ウイルス複製 / 左心室部分切除術

Research Abstract

特発性拡張型心筋症(DCM)は原因不明の予後不良な心筋疾患であり病因解明が急がれる。本症患者心筋にエンテロウイルスゲノムが証明される成績は、本症のウイルス病因を支持する重要な根拠となっている。しかし、検出したエンテロウイルス種の特定、心筋におけるウイルス増殖様式は明らかにされていない。今回、左室部分切除術(PLV)を施行されたDCM患者26症例を対象とし、切除心筋を用いてウイルス学的検索を行った。その結果、26例中9例(35%)にエンテロウイルスゲノムを検出した。これらは、コクサッキーB3、B4などのコクサッキーウイルスB群であった。また、アンチセンス鎖ウイルスRNAを9例中7例(78%)の高頻度に検出した。心筋においてコクサッキーウイルスRNAの複製(active RNA replication)が行われていることを示しており、本症の病因ならびに治療を検討する上で重要である。しかし、C型肝炎、サイトメガロ、アデノ、インフルエンザA、B、ムンプス、および単純ヘルペスのウイルスゲノムは検出されず、これらウイルスの本症患者心筋における持続感染は否定的である。また、コクサッキーウイルRNA陽性9例中6例(67%)が心機能不全で術後1年以内に死亡した。陰性15例では死亡は4例(27%)であった(p=0.0425)。特に、アンチセンス鎖陽性7例中6例(86%)が術後1年以内に死亡し、アンチセンス鎖陰性19例では死亡は4例(21%)であった(p=0.0053)。結論:DCM患者心筋においてコクサッキーウイルスB群のウイルスRNA複製が確認された。アンチセンス鎖コクサッキーウイルスRNAの存在はPLV術後早期成績不良の予測因子であり、術前の心筋ウイルスゲノムの検索が今後、必要である。

Research Products

• [Publications] Fujioka S,Kitaura Y,Ukimura A,Deguchi H,Shimizu A.: "Evaluation of viral infection in the myocardium of patients with idiopathic dilated cardiomyopathy"J Am Coll Cardiol. 36. 1920-1926 (2000)