2000 Fiscal Year Annual Research Report
軽度アルコール摂取による心筋保護作の機序とプレコンディショニングへの応用の解明
Project/Area Number |
12670706
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
宮前 雅見 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (20298821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堂前 尚親 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (60115889)
長野 豊 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (80228048)
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Keywords | Ischemic preconditioning / 心筋虚血 / アルコール / エネルギー代謝 / oxygen free radical / ultrastructure / モルモット |
Research Abstract |
定期的な軽度アルコール摂取はIschemic preconditioning(PC)に匹敵する心筋保護効果を有することが明らかとなっている。この機序におけるoxygen free radical(OR)の役割を検討するため初年度はまず、PCにおいてORが如何なる役割を果たしているかを検討した。 1.エネルギー代謝実験:約15kgのブタを胸開しハロセン麻酔下で心臓を露出して左前下行枝にair occluderを装着した。Risk areaにsurface coilを置き^<31>P-NMRにて経時的に高エネルギー燐酸化合物(ATP,phosphcreatine(Pcr),inorganic phosphate)と細胞内pH(pHi)を測定した。ブタを4群に分け、PCは5分虚血5分再灌流を1回で行い、その後すべての群で60分間虚血を行った。PC群ではcontrol群に比べ虚血中ATP,Pcr,pHiが有意に保持された。ORのscavengerであるN-2-mercaptopropionyl glycine(MPG:20mg/kg)をPC開始前30分から投与した群(PC+MPG)ではこれらの保護効果が消失した。 2.電子顕微鏡による組織学的検討:上記各群において虚血25分で心臓を摘出し心内膜、心外膜に分けて電子顕微鏡を用いて組織学的検討を行った。PC群ではcontrol群に見られた心筋細胞の浮腫、心筋線維の断裂、ミトコンドリアの腫大は軽度であった。しかし、PC+MPG群ではこれらの保護効果は消失していた。以上よりPCの機序にはORが関与していることが示唆され今後、軽度アルコールによる心筋保護においてもORの役割を検討する必要があると考えられる。
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