2001 Fiscal Year Annual Research Report
慢性心不全に対する温熱療法における体液因子と血管内皮機能に関する多角的検討
Project/Area Number |
12670708
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
松本 朗 久留米大学, 医学部, 助手 (80219485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 浩光 久留米大学, 医学部, 助手 (00320193)
松岡 秀洋 久留米大学, 医学部, 講師 (80248393)
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Keywords | 慢性心不全 / 温熱療法 / 神経体液因子 / 6分間歩行試験 / ノルエピネフリン / IL-6 / 運動耐容能 |
Research Abstract |
【目的】平成12年度に引き続き、慢性心不全患者に対する約4週間の温熱療法の慢性効果を、各種臨床所見、神経体液因子ならびに血管内皮機能の面で多角的に検討し、平成12年度に検討した症例と併せその結果を解析した。 【対象】最大限に薬物療法を施行され、病状の安定したNYHA II〜III度相当の慢性心不全患者14名(男11名、女3名、年齢62±14歳) 【方法】遠赤外線低温サウナを利用した温熱療法を1日15〜20分、週5回計4週間施行し、治療前後の自覚症状、体重、血圧、心拍数、心胸郭比、心臓超音波検査における左室駆出率、6分間歩行試験、各種血漿中神経体液因子およびサイトカイン濃度、さらに末梢血管内皮機能の指標として、高解像度超音波診断装置とstrain gauge plethysmographyをそれぞれ用いた、上腕動脈の反応性充血時の血流依存性血管拡張反応(%FMD)と前腕血管床の反応性充血時の最大血流増加度の変化を検討した。 【結果】治療前後で、4週間の温熱療法の継続により、自覚症状は改善し、6分間歩行距離は有意に増加した(344±130→390±118m, P<0.01)が、体重、血圧、心拍数、心胸郭比、左室駆出率に有意な変化はなかった。また、血漿ANP、BNPは有意に変化しなかったが、血薬ノルエピネフリン値(594土234→406±176pg/ml, p<0.05)および血漿IL-6(4.38±2.31→3.05±1.14pg/ml, p<0.05)は治療後に有意に低下した。しかし、%FMDおよび最大血流増加度は有意には変化しなかった。 (結論)低温サウナ室を用いた温熱療法は、慢性心不全患者の自覚症状および運動耐容能の改善し、この効果に交感神経緊張の低下や、炎症性サイトカインの抑制が関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 松本 朗: "【処方計画2000】 循環器疾患 慢性心不全"綜合臨床. 49. 1081-1085 (2000)
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[Publications] 松本 朗: "【慢性心不全】 治療 ACE阻害薬と血管拡張薬"カレントテラピー. 18(6). 1099-1105 (2000)
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[Publications] Hidehiro Matsuoka.: "Endothelial dysfunction associated with oxidative stress in human"Diabetes Res Clin Pract.. 54 Suppl. S65-S72 (2001)
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[Publications] Miyamoto H: "Chronic thermal therapy improves exercise tolerance in patients with chronic heart failure treated with maximal medication"JOURNAL OF CARDIAC FAILURE. Vol.6 No.3 Suppl. 110 (2000)
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[Publications] 宮本浩光: "心不全時の循環調節機能と末梢循環"Medical Practice. 18(7). 1131-1134 (2001)
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[Publications] 宮本浩光: "高齢者心不全治療のポイント"medicina. 38(10). 1698-1700 (2001)