2000 Fiscal Year Annual Research Report
動脈血栓形成における血小板matrix metalloproteinaseの役割
Project/Area Number |
12670709
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
池田 久雄 久留米大学, 医学部, 助教授 (50168134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 頼隆 久留米大学, 医学部, 助手 (90309774)
室原 豊明 久留米大学, 循環器病研究所, 講師 (90299503)
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Keywords | 生体内血栓形成 / Matrix metalloproteinase / 血小板凝集 / 内皮障害 / 血栓閉塞時間 / MMP阻害薬 |
Research Abstract |
近年、人血小板より分泌されるMMP-2が血小板凝集を促進し、その血小板凝集がADP、Thromboxaneに依存しない経路を介している事がin vitroの研究で明らかになった。今回我々は、生体内血栓形成過程にMatrix metalloproteinase(MMP)-2が関与しているかを行う目的で、ラットの血栓症モデル作成に取り組んだ。麻酔下に雄Sprague-Dawley Rat(体重200-300g)の頚動脈を露出し、丁寧に剥離し、50%の塩化鉄を染み込ませたWhatman paperをラットの頚動脈上に置いた。塩化鉄の刺激によりラット頚動脈の内皮障害が起り、続いて強力な血小板粘着と凝集を引き起し結果的に血栓閉塞するラット血栓症モデルの作成を試みた。血流はWhatman paperの遠位側の頚動脈にドップラーフロープローブを装着し、血栓閉塞時間を測定する。上記手技により、再現性のあるラット血栓症モデルを作製ですることができた。生体内血栓形成においてMMP-2の関与を検討するために、対照液投与(C群)およびMMP阻害薬(Batimastat)の低濃度(LB群)と高濃度(HB群)を急性投与し、上記血栓症モデルを作製し血栓形成の有無とそのメカニズムについて検討した。血栓閉塞時間については、C群(19±1分)とLB群(24±2分)に比し、HB群で有意に延長した(37±7分)。コラーゲン(10と15μg/mL)に対するex vivo血小板凝集については、C群(44±7と65±3%)に比し、LB群(19±7と44±5%)とHB群(17±4と38±5%)で有意に抑制した。つまり、MMP阻害薬は一つのメカニズムとして血小板凝集を抑制することで血栓閉塞時間を延長したと考えられた。次に血栓閉塞前後の血漿中MMP-2(totalとactive)を測定した。Total MMP-2に関しては、3群ともに血栓閉塞後有意に増加していた(C群:150±15to198±25ng/ml、LB群:149±17to209±17ng/ml、HB群:147±16to195±17ng/ml)。しかしながら、active MMP-2は血栓閉塞後にC群(57±2to77±3ng/ml)とLB群(63±3to75±7ng/ml)で有意に増加していたの対して、HB群(60±2to53±7ng/ml)では他の2群に比べ血栓閉塞後のactive MMP-2を有意に抑制していた。つまり、生体内血栓形成にactive MMP-2が関与している可能性が示唆された。
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