2000 Fiscal Year Annual Research Report
副交感性心拍調節におけるムスカリン性Kチャネルの役割の検討
Project/Area Number |
12670715
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
山田 充彦 国立循環器病センター研究所, 心臓生理部, 室長 (10263237)
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Keywords | ムスカリン性Kチャネル / テルティアピン / スローブロック / パッチクランプ / 副交感性心拍調節 |
Research Abstract |
副交感性心拍調節におけるムスカリン性K(K_<ACh>)チャネルの役割を検討するためには、K_<ACh>チャネルの特異的ブロツカーが必要である。本年度はパッチクランプ法を用い、ハチ毒素テルティアピンがウサギ心筋細胞で同チャネルをほぼ選択的に抑制することを示した。まずホールセルモードで、テルティアピンは心房筋細胞のムスカリン性K(K_<ACh>)チャネルを、膜電位非依存性にIC_<50>値〜10nMで抑制することが分かった。濃度反応曲線のHill係数は〜1であった。テルティアピンは、K_<ACh>チャネルの緩徐なリラクセーションキネティックスを変化させなかった。テルティアピンは、心房・心室筋細胞のI_<K1>, I_<KATP>膜電位依存性Na,Ca,K電流に、ほとんど影響を与えなかった。受容体非依存性にGTPγSで活性化されたK_<ACh>電流もテルティアピンで抑制されたので、テルティアピンはムスカリン性受容体を介さず、K_<ACh>チャネルを直接抑制すると考えられた。セルアタッチドパッチによる解析からは、テルティアピンはK_<ACh>チャネルの単一電流コンダクタンスや開口時間を変化させないこと、アウトサイドアウトパッチによる検討からは、テルティアピンがK_<ACh>チャネルの速い開閉のキネティックスを変化させずNP_oを低下させることが分かった。またインサイドアウトパッチによる検討から、テルティアピンは細胞内側からはK_<ACh>チャネルを抑制しないことが分かった。以上より、テルティアピンは、1心臓ではK_<ACh>チャネルにほぼ特異的に作用し、2この反応はチャネル細胞外側から起こる膜電位非依存性のスローブロックによると考えられた。従ってテルティアピンは、K_<ACh>チャネルの副交感性心拍調節における役割を検討するのに有用な薬物であると考えられた。
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Research Products
(1 results)