2001 Fiscal Year Annual Research Report
サルコグリカン欠損による心筋症の発症機序と細胞死にいたる情報伝達経路に関する研究
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12670717
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
花田 裕典 国立循環器病センター研究所, バイオサイエンス部, 室員 (60228509)
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Keywords | 心筋症 / ジストロフィン / サルコグリカン |
Research Abstract |
心筋症の発症の機序や病態を分子レベルで解明するために、心筋症ハムスターBIO14.6を用いて筋肉細胞の生理的性質の検討や、発現変化遺伝子を検索することなどによって、細胞変性にかかわる遺伝子群を同定し、病態との関連性を検討した。 心筋症ハムスター培養筋肉細胞では、正常型に比べてCaイオン取り込み活性が高いこと、その流入経路は、進展刺激に応じてチャンネル活性が上昇する非特異的カチオンチャネルであることを示唆した。このような心筋症ハムスター筋肉細胞におけるイオン代謝異常と、後半で同定した発現変化遺伝子と関連性を検討することによって心筋症に関連する遺伝子群を推定することが可能になった。 BIO14.6及び正常型ハムスターの培養筋肉細胞からサブトラクションcDNAライブラリーを調製し、発現解析を行なった結果、心筋症ハムスターの心臓で特異的に発現が増加する約30種類(未知の物を含む)の遺伝子を得た。しかし、ハムスターでは利用できる遺伝子情報が少ないこと、ライブラリーに含まれる遺伝子の冗長度が高いことなど、多数の発現変化遺伝子を検索するには不利であることが明らかになった。そこで方法を改良し、遺伝子情報が豊富なマウスの心臓から作成した正規化cDNAアレイライブラリー(15,000クローン、平均鎖長2.4kb)から、サブトラクションcDNAをプローブにして発現変化遺伝子の検索を行った。 心筋症あるいは正常型ハムスター特異的に発現変化している2000クローンのうち1350クローンの配列が決定でき、心筋症ハムスター特異的に発現が上昇している約170種と、減少している約130種の遺伝子を同定した。この中には、収縮系、イオントランスポーターやCa結合タンパク質等、心筋症や、先に検討した心筋症ハムスター筋肉細胞におけるイオン代謝異常と密接に関連することが予想される遺伝子群が多く含まれていた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nakamura, TY: "Stretch-activated cation channels in skeletal muscle myotubes from sarcogelycan-defficient hamsters"AM.J.Physiol.Cell Physiol.. 281(2). C690-C699 (2001)
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[Publications] Sampaolesi, M: "Stretch-induced cell damage in sarcoglycan-defficient myotubes"Pfluger Arch.. 442(2). 161-170 (2001)