2001 Fiscal Year Annual Research Report
亜急性硬化性全脳炎(SSPE)の病態についての研究
Project/Area Number |
12670725
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
澤石 由記夫 秋田大学, 医学部, 講師 (90250894)
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Keywords | SSPE / M蛋白 / RT-PCR / nested-PCR / 塩基配列 / 麻疹 |
Research Abstract |
H12年度は予備実験として、nested PCRを用いたRT-PCR法で5年前の保存髄液からもSSPEウイルスH蛋白遺伝子の存在を確認することができた。本年度は麻疹ウイルスとSSPEウイルスの違いを作り出す、M蛋白遺伝子について検索した。SSPEウイルスのM蛋白遺伝子は変異が多いため、primerを幾つか合成し、RT-PCR法を行った。その結果、(1)保存髄液からのRNA抽出法を工夫する、(2)RT-PCR法とそれに引き続くnested PCR法のprimerを種々に調整する、(3)PCRの条件を多様に設定してみる、などにより10年前の保存髄液からも安定して、M蛋白遺伝子を増幅するごとができるようになった。これまで、SSPEの診断に、SSPE遺伝子が髄液中に存在することを示すことは容易ではなかったので、今回のM蛋白遺伝子増幅法はSSPEの診断にも利用できるものと考えられる。本研究の目的である、M蛋白遺伝子の経時的変化様式を明らかにするために、増幅されたPCR産物の塩基配列決定を試みた。しかし、シークエンスデータがオーバーラップした不明瞭な結果しか得ることができなかった。変異の程度が種々の段階にあるM蛋白遺伝子が多数存在するためなのか、それとも、PCR反応レベルで不均一な産物となっているのか、あるいはシークエンス反応に問題があるのか、原因を現在検索している。PCR primerやシークエンスprimerを種々に設定し、シークエンス反応を繰り返す予定にしている。次年度は、最終年度になるので、このシークエンスの問題を解決し、目的とするM蛋白遺伝子の経時的変化について結論を出す予定である。
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