2001 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制経路:ARF-p53 pathwayによる小児白血病抑制機構の解析
Project/Area Number |
12670736
|
Research Institution | Shinshu University School of Medicine |
Principal Investigator |
上條 岳彦 信州大学, 医学部・付属病院・小児科, 講師 (90262708)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 健一 信州大学, 医学部・小児科, 助教授 (40143979)
|
Keywords | ARF / p53 / 癌抑制遺伝子 / 白血病 / アポトーシス |
Research Abstract |
1)ARFノックアウトマウスのリンパ球表面マーカーの検討 ARFノックアウトマウスの末梢血、および胸腺のリンパ球表面マーカーをFACSを用いて解析した。T細胞性表面抗原としてCD4,CD8,B細胞性表面抗原としてCD20,NK細胞性表面抗原としてCD16,CD56を解析したが、野生型マウスとARFノックアウトマウスとの間に有為な差は認められなかった。 2)ARFノックアウトマウスの血液幹細胞の増殖能の検討 ARFノックアウトマウスの骨髄を採取し、無血清低酸素下培養法を用いて血液幹細胞のコロニーアッ〓および液体培養を行った。4週令のARFノックアウトマウスの血液幹細胞の増殖能、コロニー形成〓age-matched controlと比較して有意に差がなかった。 3)ARFによる細胞死誘導機構の検討 ARFはMDM2を不活化してp53の活性を増強することが知られているが、p53はアポトーシス関連遺伝子の発現調節を行う転写因子であることが知られている。アポトーシスは細胞のプログラムされた自殺機構として発生過程の器官形成、ウイルス感染やDNA傷害によってダメージを受けた細胞の除去に重要な生理的経路として認識されている。そこでARFノックアウトマウスにおける腫瘍の発症に細胞死誘導機構の失活が関与しているかを検討するために、ARFによる細胞死誘導の分子機構を検討した。ARF/p16-null細胞への導入実験によって、ARF-p53依存性にBcl-2が減少し、BaxはARF非依存性・p53依存性に血清除去で誘導されることが示された。ARF依存性アポトーシスはミトコンドリアからcytochrome cを細胞質に放出させ、ミトコンドリア膜電位を低下させた。またこのアポトーシスはカスペース阻害剤のz-VAD-fmkで阻害され、caspase9またcaspase3の活性化を伴っていた。以上の結果から、ARFはp53を介してanti-apoptotic蛋白であるBcl-2の発現を抑制し、血清除去によるpro-apoptotic蛋白であるBaxの発現増加と共調的にアポトーシスを誘導し、このアポトーシスはミトコンドリア依存性であることが示された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Mwamtemi HH: "An increase in circulating mast cell colony-forming cells in asthma"J Immunol.. 166. 4672-4677 (2001)
-
[Publications] Hagimoto R: "A possible role for maternal HLA antibodyin a case of alloimmune neonatal neutropenia"Transfusion. 41. 615-620 (2001)
-
[Publications] Kurokawa Y: "A missense mutation (tyr88 to cys) in the platelet membrane glycoprotein Ibbeta gene affects GPIb/IX complex expression"Thromb Haemost. 86. 1249-1256 (2001)
-
[Publications] Sakashita K: "Dynamic DNA methylation change in the CpG island region of p15 during human myeloid development"J Clin Invest. 108. 1195-1204 (2001)
-
[Publications] 小川美奈: "ヘモクロマトーシスによる甲状腺機能低下症を合併した再生不良性貧血の1例"日本小児血液学会雑誌. 15巻3号. 192-196 (2001)
-
[Publications] 上條岳彦: "p53とARFによる癌抑制能"血液・腫瘍科. 42巻6号. 537-544 (2001)