2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト神経芽腫の平滑筋細胞への分化・成熟とその制御機構
Project/Area Number |
12670763
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
杉本 徹 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (90117888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 啓史 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (10284837)
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Keywords | 神経芽腫 / 神経冠 / 平滑筋細胞 / S型細胞 |
Research Abstract |
[目的]神経冠細胞(NCC)は、末梢神経、Schwann細胞、色素細胞、外・中胚葉細胞に分化することがLe Douarinらの鳥類の研究で証明されている。またCATCH21症候群(大動脈血管転移、Fallot四症候などを合併)は、頭頸部NCCの遊走と分化異常により、心血管系の異常を起こると考えられている。また最近ラットのNCCは平滑筋細胞(SMC)に分化する可能性が報告された(Anderson 1999)。以上より、NCCから発生する腫瘍である神経芽腫(NB)は、神経細胞のみならず、SMCに分化する能力を持っていると考えられる。今回、NB株の培養中に発生するS型細胞(平坦・上皮細胞)がSMCの特性を持つこと証明した。 [方法]NB細胞株は、紡錘形のN細胞から成る親株(n=3)とクローン株(n=1)、S細胞からなる親株(n=2)とクローン株(n=4)、およびSとN細胞からなるクローン株(n=1)の計11種を用いた。細胞骨格の解析はα-smooth muscle actin(α-SMA)、desmin、塩基性calponinとsmooth muscle-myosin heavy chain (SM-MHC)のSM1とSM2 isoformなどのSMCの特異的な抗体を用いて、蛍光抗体法とWestern blot法で検討した。α-SMAはNorthernblot法、calponinとSM-MHCはRT-PCR法で検討した。またSMCを収縮させるEndothelin(ET)によるシグナル伝達は抗チロシン燐酸抗体(pTyr)アガロースと反応させ、ERK-2抗体によるWestern blot法で検討した。 [結果]N細胞から成るNB株ではSMCに特異的な細胞骨格蛋白は陰性であった。S型細胞を含む親株とクローン株では、α-SMA(n=7)、desmin(n=2)、塩基性calponin(n=7)が陽性、またSM1はS型細胞株MP-N-TS(n=1)で陽性であった。塩基性calponinとSM1陽性はRT-PCR法でも確認できた。またSM2はMP-N-TS株で陽性であった。ET刺激によるERK-2のpTyr化によるシグナル伝達は、S型細胞株で強陽性であった。 [考案]NBのS型細胞は、1)SMCの表現型を持ち、2)ET刺激により、ERK-2を介するシグナル伝達を起こし、3)S型細胞はSMCの特性を持つと考えられ、4)ヒトNCCの発生・分化と器官(特に心臓)形成を解析するのに役立つと考えられる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] T.Sugimoto, H.Mine, Y.Horii et al.: "Neuroblatoma cell lines showing smooth muscle phenotypes"Diagnos Mol. Pathol.. 9. 221-228 (2000)
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[Publications] H.Kuroda, T.Sugimoto, et al.: "Signaling pathway of neurotrophic factor in human neuroblastoma cell lines"Med Pediatr Oncol.. 36. 118-121 (2001)
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[Publications] T.Sugimoto, H.Kuroda, et al.: "Signal transduction pathways through TRK-A and TRK-B receptors in human neuroblastoma cells"Jpn J Cancer Res.. 92. 152-160 (2001)
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[Publications] H.Moritake, Y.Horii, H.Kuroda, T.Sugimoto: "Analysis of PTEN/MMAC1 alteration in neuroblastoma"Cancer Genet Cytogen. 125. 151-155 (2001)
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[Publications] 杉本 徹, 駒田 美弘, 他: "平滑筋ミオシン陽性神経芽腫細胞株KP-N-MS"Human Cell. 12. 47-56 (1999)
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[Publications] 杉本 徹: "ヒト神経芽腫の細胞分子生物学的特性と臨床との関係"京都府立医科大学雑誌. 109. 655-668 (2000)
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[Publications] 杉本 徹: "神経芽腫 小児科学 第2版"医学書院 東京. 101-104 (2002)