2000 Fiscal Year Annual Research Report
パルボウイルスB19感染のスペクトラムと感染要因に関する研究
Project/Area Number |
12670765
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
工藤 亨 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (30117618)
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Keywords | パルボウイルス / B19 |
Research Abstract |
パルボウイルスB19(B19)の免疫血清型は一種類と考えられている。我々はB19初感染後3年を経て再感染した症例を発見した。症例は9才男児で1991年に悪性リンパ腫(Ki-1型)を発症し化学療法を受け寛解後の1992年に同種骨髄移植を施行された後完全寛解中の児である。1991年4月から貧血により9回の濃厚赤血球の輸血を受けた。この時期の保存血清からB19DNAが検出されB19IgM・IgG抗体が陽性で初回の感染と診断された。この期間網状球の減少がみられている。3年後の1994年、症状は認めなかったが再びB19DNAが検出されB19IgM・IgG抗体陽性となり再感染と診断された。B19ストレインは流行毎に変化することは既に我々が報告している。保存血清からB19DNAの塩基配列215-3901、497-1958、1640-3867の3領域をPCR法で増幅し、増幅されたDNAをHpaI,PvuII,PstI,HindIII,NboIの5種の制限酵素で処理しその切断パターンからゲノム型を分析した。1991年の患児から得られたB19のゲノム型はこの年の伝染性紅斑2例から得られたものと同じであった。一方1994年の患児のB19ゲノム型は1991年のものと同じであるが、1994年の伝染性紅斑2例のゲノム型とは異なるものであった。従って、本症例の1994年の再感染はこの年の流行によるものではなく1991年の初感染B19が潜伏感染していて再活性化によるものと結論した。
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Research Products
(1 results)