2001 Fiscal Year Annual Research Report
小児期発症1型糖尿病および自己免疫性甲状腺疾患における遺伝因子の解析
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12670781
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
杉原 茂孝 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (10241960)
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Keywords | 小児期発症1型糖尿病 / 小児期発症Graves病 / 遺伝因子 / AIRE遺伝子 |
Research Abstract |
1型糖尿病は遺伝因子と環境因子の関与のもとで,自己免疫反応によりインスリンを産生する膵ベータ細胞が障害される疾患である.Graves病では,同様に自己免疫反応により産生されたTSHレセプター抗体によって甲状腺機能亢進症が引き起こされる.我々はこれまで,日本人小児期発症1型糖尿病患者およびGraves病患者を対象として,HLAクラスII遺伝子およびCTLA4遺伝子の検索をすすめてきた. 最近,AIRE遺伝子が新たにクローニングされその変異がAPECED(autoimmune polyendocrinopathy-candidiasis-ectodermal dystrophy)の原因となることが明らかとなった.AIRE遺伝子は,胸腺,リンパ節,胎児肝に発現する2個のZnフィンガーを有する転写因子をコードしており,免疫学的寛容の成立に重要な役割を担っている可能性がある.1型糖尿病やGraves病の患児では基本的病因としての臓器特異的な自己免疫反応に加え,多臓器にわたって自己免疫反応を引き起こしやすい免疫系の異常が想定される.そこで今回,AIRE-1遺伝子に着目し検討した. 対象は,1型糖尿病患者46例(女子29例,男子17例,発症年齢は0.5-16歳)とGraves病患者44例(女子34例,男子10例,発症年齢は3-16歳)である.APECED患者で既に見出されているAIRE-1遺伝子のエクソン2のK(aag)83E(gag)変異,およびエクソン6のR(cga)257X(tga)変異についてそれぞれプライマーを作成し,PCR-RFLP法によって変異の有無を解析した.その結果,今回の対象者の中にはこの部位の遺伝子変異は検出されなかった.従って,日本人小児期発症のこの二疾患については,AIRE-1遺伝子のK83E変異とR257X変異は関与していないと考えられた.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kikuoka, N., S. Sugihara, et al.: "Cytotoxic T lymphocyte antigen4 gene polymorphism confers susceptibility to Type 1 diabetes in Japanese children : analysis of ......"Clin Endocrinol. 55. 597-603 (2001)