2001 Fiscal Year Annual Research Report
BH4合成に関与する新たなカルボニル還元酵素と異型フェニルケトン尿症との関連
Project/Area Number |
12670785
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
飯野 煕彦 日本大学, 文理学部, 教授 (50059937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新宅 治夫 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (00206319)
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Keywords | テトラヒドロビオプテリン / BH_4生合成系 / BH_4欠損症 / カルボニル還元酵素 / セピアプテリン還元酵素 / カイコ |
Research Abstract |
新たなテトラヒドロビオプテリン生合成に関与する二種のカルボニル還元酵素のうち、最初にCR IIの精製とその遺伝子のクローニングを試みた。CR IIは各種カラムクロマトグラフィーを行って、SDS-PAGE上で、単一なバンドを示すまでに精製された。この標品のアミノ酸シークエンス解析を行ったところ、N末端より20残基のシークエンスが明らかとなった。この配列からプライマーを構築し、RT-PCR,5'-RACE法を用いて有用なプローブを作製した。このプローブを用いてカイコガ突然変異体レモン幼虫のm-RNAの発現を確かめたところ、5令幼虫3日目をピークとする顕著な発現が見られた。ところが、RT-PCRを用いて本酵素の遺伝子解析をしていく中でのいくつかの段階で、ホモロジー検索を行ったところ、この遺伝子は、ほ乳類のGST遺伝子にその相同性が高く、最終的にはおよそ80%の相同を示した。GSTは最近の研究により多機能酵素であることや、精製の際にCRと同じ挙動を示すことが報告されている。そこで、CR IIがGSTのファミリーである可能性を確かめるため、精製CR II標品をグルタチオンカラムにかけたところ、非吸着画分と吸着画分の二つの溶出ピークが見られ、CR II活性は非吸着画分にあった。この画分のアミノ酸のシークエンス解析を行ったところ、N末端のブロックによる解析不能の結果が得られた。この結果は、GSTとCR IIの電気泳動での挙動は一致しており、アミノ酸配列解析ではN末端がふさがれていないGSTの情報だけが現れたことを示している。結果として、CR IIの遺伝子解析はうまくいかなかったが、カイコのGST遺伝子は、まだ全容が解明されていないので、発表の予定である。
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Research Products
(1 results)