2000 Fiscal Year Annual Research Report
血管平滑筋における酸素感受性イオンチャネルに関する研究
Project/Area Number |
12670786
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
勝部 康弘 日本医科大学, 医学部, 講師 (20246523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 敏雄 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (90120013)
小川 俊一 日本医科大学, 医学部, 助教授 (50194436)
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Keywords | イオンチャネル / 酸素感受性 / K_vチャネル / ATP感受性Kチャネル / K_<ATP>チャネル / Na-Ca交換輸送 / 動脈管 / 肺抵抗血管 |
Research Abstract |
研究テーマである血管平滑筋の酸素感受性イオンチャネルにつき平成12年度ではパッチクランプ法を用いて検討した。ラットとラビットのそれぞれ動脈管と末梢肺動脈(抵抗血管)の2つの組織を用いて以下の2種類の実験を行った。 <実験> 実験(1):胎児動脈管は出世後の呼吸開始とともに収縮する。この機能は酸素感受性イオンチャネル研究に適した組織と考え、その収縮機序をラットを用いて検討した。特に、未熟な動脈管ほど出生後の収縮が悪く動脈管開存症になりやすいため、妊娠19日目と21日目胎児動脈管を比較することにより発達による変化に注目した。 実験(2):肺動脈圧は高濃度の酸素投与により低下することは周知の事実である。この機序につき末梢肺動脈(第5分枝以降)血管平滑筋細胞を用いて細胞膜に存在するNa-Ca交換輸送に注目し、酸素あるいは低酸素での電流の変化を測定した。また、生後4-5日の新生仔と成獣を比較し、発達に伴う変化についても検討を加えてみた。 <結果> 実験(1):4-アミノピリジンで抑制されるKチャネル(K_vチャネル)電流は妊娠19日目、21日目胎児にいずれにも存在し、両群間で電流密度に有意差を認めなかった。一方、ATP感受性Kチャネル開口薬であるピナシジールで増強するKチャネル(K_<ATP>チャネル)電流は19日目より21日目で大きかった。以上より我々の実験は、K_vチャネルよりK_<ATP>チャネルの方が動脈管の酸素による収縮機転には重要な役割を演じている可能性があることを示唆した。 実験(2):新生仔、成獣の末梢肺動脈にNa-Ca交換輸送電流が存在することを確認した。内向きのNa-Ca交換輸送電流は成獣では低酸素により減少したが、新生仔では変化しなかった。内向きのNa-Ca交換輸送は細胞内のCaを汲み出す役割があり、新生仔では低酸素による細胞内Ca上昇から細胞を守る役目をNa-Ca交換輸送が担っている可能性が示唆された。
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