2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12670792
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
吉林 宗夫 近畿大学, 医学部・附属病院, 助教授 (80273449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中畑 龍俊 京都大学, 医学研究科, 教授 (20110744)
西村 和修 京都大学, 医学研究科, 助教授 (70252450)
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Keywords | 心筋細胞自己移植 / 心不全 |
Research Abstract |
本研究では成熟心筋細胞の自己移植および骨髄から誘導した心筋細胞自己移植の両実験を平行して進行させている。 1.成熟心筋細胞の自己移植 週令7週のルイスラットの心室筋を胎児ラット心筋細胞培養と同様の手技で単離・培養した。培養開始翌日より細胞の増生を認めた。これらの細胞を横紋筋特異蛋白であるαアクチンにて免疫染色するとその80%以上は染色されたが、これらの細胞は拍動することなく、電気生理学的にも心筋本来の活動電位を認めなかった。したがって、これら増殖細胞は培養中に非心筋細胞が心筋特異蛋白を発現するようになったか、本来の心筋のフェノタイブが変化し、高次機能を失った可能性が考えられる。 そこで、ラット成熟心筋細胞をコラゲナーゼ灌流法にて単離した。この場合、それぞれの心筋はサルコメアを保持したまま単離することが可能で、カルシウムの付加により容易に拍動した。しかし、これらは増殖することはなかった。したがって、現在までのところ正常成熟心筋細胞を単離・培養する研究段階でこれらを移植するまで至っていない。 2.骨髄から誘導した心筋細胞自己移植 週令5-6週のルイスラットの大腿骨より骨髄を採取し、これをin vitroで培養した。培養中に5アザチジンを付加したかが4ヶ月の間に自己拍動を有する細胞は認められなかった。そこで、骨髄の初回培養から1週間後にこれらの細胞をルイスラットの正常心筋組織に移植した。その結果、宿主心筋組織内に骨髄由来の心筋様組織の形成を認めた。しかし、この心筋の発現率は現在のところ非常に低く、数%以下である。 今後はまず、骨髄間質細胞のin vivoでの心筋への誘導を中心に、心不全モデルへ細胞移植を応用した研究を進めたいと考えている。
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