2000 Fiscal Year Annual Research Report
VII型コラーゲン欠損ヒト皮膚における基底膜関連分子の免疫電顕法による解析
Project/Area Number |
12670836
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石河 晃 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (10202988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 洋介 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90306845)
西川 武二 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50051579)
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Keywords | VII型コラーゲン / 先天性表皮水疱症 / 免疫電顕法 / BPAG2 / ラミニン5 / 基底膜 / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
劣性栄養障害型先天性表皮水疱症は遺伝子変異により表皮基底膜部の稽留線維の主成分であるVII型コラーゲンが形成されないため、表皮基底板の下に水疱を生じる疾患である。VII型コラーゲンはlaminin5とβ3鎖を介して結合していることがin vitroで報告されたものの、in vivoにおける他の分子との結合性、相互関係の詳細は未だ不明である。本研究の目的は劣性栄養障害型先天性表皮水疱症患者のVII型コラーゲン欠損皮膚を用いて、金コロイド免疫電顕法で他の基底膜構成分子の微細局在部位がどのような変化を来しているかを詳細に観察することにより、in vivoにおけるVII型コラーゲンと他の分子の相互関係を明らかにすることにある。 1.患者集積、診断確定、遺伝子変異の同定 本年度には1例の新患があったが遠方のため、患者末梢血DNAを用いた遺伝子解析を行うにとどまり、新鮮皮膚を入手することができなかった。そのうち1例は一つの対立遺伝子にナンセンス変異が確認されている。 2.患者皮膚を用いた金コロイド免疫電顕法 すでに診断確定している患者より同意を得て採取した新鮮皮膚を凍結固定凍結置換しBPAG2およびlaminin5の局在部位をpost-embedding法を用いた免疫電顕にて観察し,正常皮膚での局在部位との差違について検討した.その結果、ラミニン5、及びBPAG2のN末端は正常ヒト皮膚における局在と優位な差は認められなかったが、BPAG2のC末端は正常ヒト皮膚に比べ表皮基底細胞の細胞膜よりに大きく変異していることが確認された。この結果はBPAG2とVII型コラーゲンがそのC末を介して何らかの相互作用を有することを示唆している。この結果は2000.9.23第27回日本電顕皮膚生物学会において発表した。今後さらに症例を集積する予定である。
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