2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12670842
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Research Institution | Nihon University School of Medicine, Institute of General Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 啓之 日本大学, 医学部, 教授 (40059473)
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Keywords | メルケル細胞 / 神経付着 / 表皮 / 毛包 / bulge area / polymorphism / tadpole型 / bipolar型 |
Research Abstract |
当該年度は、主として1)表皮、毛包におけるメルケル細胞と神経のinteraction,ならびに2)メルケル細胞のpolymorphismとその意義、3)皮膚疾患におけるメルケル細胞の3点につき研究を進めた。 まず表皮、毛包におけるメルケル細胞と神経の関連性については、ヒトの皮膚で免疫組織化学、共焦点レーザー顕微鏡を用い研究した。その結果、表皮基底に存在するメルケル細胞には、ほぼすべてに神経線維の付着が認められた。一方、毛包のメルケル細胞については、神経の付着はほとんど認められなかった。一見付着しているような所見も観察されたが、共焦点レーザー顕微鏡で試料の角度を傾斜して観察すると神経線維のメルケル細胞への付着は見られなかった。 次に、メルケル細胞の形態のpolymorphismにつき検討を行った。ヒト皮膚を用い免疫組織化学的手法で観察した。メルケル細胞はCK20で、神経はPGP9.5で検出した。その結果、メルケル細胞は表皮では基底に存在し、球形または類円形を呈することが多いが、小数ながら細長い細胞質を1側に突出したtadpole型あるいは両側に突出したbipolar型も認められた。毛包では、メルケル細胞は毛包のbulge areaに集簇して観察された。毛包では、約30%のメルケル細胞はtadpole型またはbipolar型を呈し多形性の存在が確認された。さらに伸長した細胞質突起は毛包内に伸びたり、反対に真皮結合組織に突き出ていた。 病的材料におけるメルケル細胞は、trichoblastomaなど毛起源の腫瘍では、腫瘍巣の最外層に多形性のメルケル細胞が多数認められた。一方basal cell carcinomaではメルケル細胞は観察されなかった。 これらのデータに基づき、さらに毛包bulge areaに関する近年の知見を併せ考えると、表皮基底に存在し神経が付着するメルケル細胞は感覚受容という分化した機能を営むが、一方メルケル細胞は毛包bulge areaにあって、毛包細胞とaffinityがつよく、自らの増殖、分化を図るとともにmaturationを営むとともに、毛包の形態形成、毛周期にかかわる機能を営む可能性などが推察される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Uchigasaki S, Suzuki H, Inoue K: "Merkel cells in the vellus hair follicles of human facial skin : a study using confocal laser microscopy"J Dermatol. 31. 218-222 (2004)
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[Publications] 鈴木啓之: "皮膚組織内の微量金属の同定-X線微小分析法の応用"皮膚病診療. 26. 85-88 (2004)
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[Publications] Haga R, Suzuki H: "Rectal carcinoma associated with pagetoid phenomenon"Eur J Dermatol. 13. 93-94 (2003)
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[Publications] Goshima J, Hara H, Okada, T, Suzuki H: "Syringocystadenoma papilliferum arising on the scrotum"Eur J Dermatol. 13. 271-271 (2003)
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[Publications] 五島順子, 原弘之, 岡田知善, 鈴木啓之: "Basal cell carcinoma of the scrotum"Skin Cance. 18. 80-81 (2003)
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[Publications] 五島順子, 原弘之, 鈴木啓之, 上原麻由, 岡本竹春: "SLE患者の合併した多発性皮膚線維腫"皮膚の科学. 2. 216-217 (2003)