2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトマスト細胞膜に特異的に発現する新しい分化マーカーのクローニングとその臨床応用
Project/Area Number |
12670845
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
岡田 忠 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40128731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 昌男 (株)医学生物学研究所, 部長
川井 信 愛知医科大学, 医学部, 講師 (90065574)
杉山 博子 愛知医科大学, 医学部, 講師 (10171191)
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Keywords | マスト細胞 / 分化 / アレルギー / 遺伝子 / クローニング |
Research Abstract |
ヒトマスト細胞の膜表面に発現するタンパク(以下mast cell surface antigen:MASA、国際特許出願中)を新規にクローニングした。このタンパクは第11染色体に存在する遺伝子によってコードされ、786個のアミノ酸から構成される。MASAは皮膚や肺、消化管等正常組織の細胞では発現せず、炎症組織のマスト細胞に発現しており炎症性サイトカインで誘導されると考えられる。 (1)MASAの機能を動物実験で検討するためにラットのMASAをクローニングした。このタンパクは821個のアミノ酸で構成されヒトMASAと66%のhomologyを示す。DNP-KLHを抗原としてI型アレルギーモデルで腹腔マスト細胞を刺激すると、3日後からMASAが発現してきた。いくつかのサイトカインを調べた結果、特にTGFβ(1-10ng/ml)によって強く発現が誘導された。 (2)昨年度から継続して95例の各種疾患において気管支肺胞洗浄液BALF中のマスト細胞数とMASA陽性細胞数、及びサイトカイン濃度を測定した。BOOPサルコイドーシスや結核など、慢性炎症でMASA陽性のマスト細胞が増加しており、TGFβ-1やstem cell factorが高値であった。蛍光抗体法でtryptase陽性細胞数(全マスト細胞)を測定し、toluidine blue染色で検出できる顆粒豊富な細胞数との差(脱顆粒後の細胞)をとると、MASA陽性細胞と強い相関を示した。従って、(1)の実験結果が臨床的にも確認され、MASAはマスト細胞活性化のマーカーとして、病態に関与する情報をあたえるものであり臨床的にも有用と考えられる。 (3)ヒト皮膚のマスト細胞ではMASAの発現は確認できていない。現在m-RNAの測定など、より鋭敏な検出法で確認を急いでいる。また、モノクローナル抗体5C12が認識する抗原タンパクのクローニングも進めている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 宮下 哲: "ケロイドにおけるマスト細胞の分布と性状"愛知医科大学医学会雑誌. 30巻・1号. 43-54 (2002)
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[Publications] 榊原綾子: "新規開発抗ヒトマスト細胞抗体を用いた二重染色法による慢性咳漱患者の気道内マスト細胞の動態に関する研究"愛知医科大学医学会雑誌. 30巻・1号. 1-13 (2002)
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[Publications] 徳留美智子: "気管支肺胞洗浄液中の肥満細胞の動態と臨床的検討"愛知医科大学医学会雑誌. 31巻・1号. 27-36 (2003)