2001 Fiscal Year Annual Research Report
放射線治療後の癌患者における癌細胞の浸潤・転移に関する基礎研究
Project/Area Number |
12670849
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮地 秀夫 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (70004728)
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Keywords | 放射線治療 / 癌細胞 / 浸潤 / 転移 / 免疫染色 / 細胞培養 / 光学顕微鏡 |
Research Abstract |
放射線治療後の癌患者は早期の治療によって予後期間に影響を与える。予後期間に最も関係のある癌細胞の浸潤・転移に関した因子に注目をし、予後との関係を検討した。近年、悪性腫瘍におけるU-PAとPAI-1の役割が注目されている。癌細胞は血管内に侵入し、基底膜と結合組織を破壊して転移形成をしているものと考えられる。そこで癌患者の同意を得た検体標本を用いて、細胞外基質を溶解し、癌細胞の浸潤・転移に関しているU-PAと浸潤・転移に対して抑制的に働いてるPAI-1について免疫染色を行い、染色性の陽性%を計測した。上記の因子に加えて細胞増殖に関係のあるPCNAについても免疫染色を行い、H.E.染色と対比しながら計測を行った。同様の因子を用いて、当院で樹立した食道癌細胞を用い倍養系で細胞に対する阻害度を検討した。 1995年〜1999年間に放射線根治照射を施行した食道癌患者について、患者の同意を得た検体標本を用いて免疫染色を行った。免疫染色の染色性の陽性率はU-PAでは40〜70%と比較的高く、浸潤・転移を進行させているものと思われた。それに反して、PAI-1は35〜55%と中程度の値を示し、多少、浸潤・転移に関して抑制的に働いている部分も見られた。増殖性の指標として、PCNAの免疫染色を行ったが25〜55%と比較的低い値で、細胞の増殖があまり盛んに行われていなかった。食道癌細胞を用いた培養系での上記の因子について細胞阻害度を検討した。その結果、U-PAでは多少の減少は見られたが添加による影響は見られなかった。PAI-1では10,25,50μMの濃度で添加すると細胞数が減少し、細胞に対して抑制的に働いていた。PCNAの増殖因子では10μMと25μMで細胞数の増殖が見られたが50μMに従って減少の傾向が見られた。今後、細胞外基質について検討を行い癌細胞の浸潤・転移のメカニズムを解明する。
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