Research Abstract |
1997.8から2003.1までに,骨転移に対して骨セメント注入による経皮的骨形成術を59例に行った。患者の内訳は,男26例,女33例,年令36?80才(平均63才)で,原発巣は,肺癌17例,乳癌10例およびその他の癌で,肺癌,乳癌が多かった。経皮的骨形成術はCT透視を用い,59例の患者に同時性,異時性に69回の経皮的骨形成術が行われ,総数90骨に1?15ml(平均4.3ml)の骨セメントが注入された。注入骨の内訳は椎体77,仙骨7,寛骨臼3,大腿骨2,腸骨2で,CT透視下にて穿刺及びセメント注入は臨床的合併症を起こさずに全部位に施行可能であった。1回の経皮的骨形成術にて骨セメントが注入された骨を一括として1治療部位として治療部位別に,また,それぞれの治療部位を放射線治療併用の有無によりGroup A(骨形成術単独群),Group B(骨形成術後放射線治療施行群),Group C(放射線治療後骨形成術施行群)に分け,治療法別に除痛効果判定を行った。疼痛の程度は11段階表示のVisual analogue scale(VAS)を用い,VAS scoreとして各治療前後で患者自身が自己評価した。各Groupにおける平均VAS scoreは,Group Aにおいて骨形成術前7.3,骨形成術後1.3,Group Bにおいて骨形成術前7.7,骨形成術後照射前2.1放射線治療後0.9,Group Cにおいて放射線治療前8.0,照射後骨形成術前5.9,骨形成術後1.4と改善した。各Groupとも経皮的骨形成術後VAS scoreは有意に減少し,良好な除痛を得た。また,放射線治療はGroup Bでは経皮的骨形成術後更に有意に除痛をもたらし,Group Cでは経皮的骨形成術前に疼痛をある程度改善し,その後の経皮的骨形成術施行に有利となった。結果として,経皮的骨形成術後では61%,全治療後では77%の部位が疼痛の完全寛解を得た。経皮的骨形成術後77%の部位が24時間以内に除痛を得,治療後の疼痛の再発例が少ないのも更なる特長であった。今回の結果は,骨転移に対する経皮的骨形成術の有効性を示し,特に経皮的骨形成術と放射線治療の併用療法は骨転移に対する治療法として新しい魅力的た治療法と考えられた。
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